アヤが小さな手にボールペンを握りしめて何かを書いている。
一心不乱に。
しばらくすると、なんだか凄いものが描きあがっていた。
なんだか凄いもの。
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「アヤ、これは何?」
「くま」。
な、なるほど。熊に見える。
見えるでしょ?ほおらほおら。
「じょうずだねー」
気を良くしたアヤはなおも描き続ける。
「アヤ、さむいらいおんかこっと」
カリカリカリ
「アヤ、とらもかこっと」
カリカリカリ
寒いライオンとトラ
↓
↓
一目瞭然、寒いライオンとトラが描きあがった。
一目瞭然。
見ればわかるとは思うが、一応書き添えておくと、
左上がトラで、右下が寒いライオンである。
寒そー。
ライオン寒そー。
私はこれらの絵に天才の閃きを感じる。
私がバカ親だからだろうか?
否。断じて否。
アヤはきっと美術の天才なのだ。
そう確信した暑い夏の午後であった。
あ。
でもアヤちゃん、
せっかく買ってあげたぬり絵を
同じ色だけで塗りつぶすのはやめようね。
天才っぽくないから。
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