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買ったよシリーズ

iPodを買ったよ
2006.8.19

「買ったよシリーズ」も、もう第何弾だか数えるのも面倒だ。
日々いろんなもんを買ってるし。

おにぎりを買ったよ
お茶を買ったよ
サンダルを買ったよ
買ったよ買ったよ買ったよ。
ああ、買ったともさ。

私は常に消費者である。

そんなわけで今回はiPodを買ったよ。

どうしても必要って物でもなかったけど、新しいデジタル物が欲しかった。
プレイステーションポータブルが面白いかなー、と思ってた時期もあったが、ある日、会社帰りの電車内で30過ぎであろうサラリーマンが、プレイステーションポータブルのボタンをすごい勢いで連打しているのを目撃した瞬間に欲しくなくなった。

ケータイ電話やデジタルカメラも候補になっていたが、なぜか敗退し、iPodが生き残った。
生き残ったiPodは「黒くて30ギガバイトのやつ」だった。
なぜ「黒いやつ」だったかというと、私が黒いiPodの実物を見たことがなかったからだ。

それにしても「30ギガバイト」。この大きさで。
っていうか小ささで。

初めて買ったパソコンの内蔵ハードディスクの容量が500メガバイトで、容量のやりくりに苦労したのがなつかしいよ。
10年以上前だけど。

そんなことはともかく。

Amazon.co.jpに発注して待つこと3日か4日。
届いたパーケージは、CD5枚組みのケースくらいの厚みと大きさだった。
その箱がなんだか開けにくくて、しばらく爪を立ててカリカリしてしまった。

ようやく引っ張り出してみたが、簡単な説明書しか入っていなかったので、本体をてきとーにいじっていたら液晶画面が明るくなり、メニュー画面が映し出された。
丸いところをこするとその方向に画面上の選択表示が動く。なるほど。

しばらくこすったり押したりするが、音楽を入れてないので、メニューを行ったり来たりするだけであまり面白くない。
早く音楽を入れようと、パソコンと接続すると、なにやら登録画面になって、あれやこれや記入しろと言われる。
「iPod本体の裏にシリアルナンバーがあるからそれを打ち込め」と言われ、裏返して銀色の面をみると、あったあった、シリアルナンバーがとてつもなく小さな字で刻印されている。

読めねーよ。
老眼が進んだド近眼のおっちゃんには読めねーよ。
メガネをはずして、目玉をくっつけるようにしてシリアルナンバーを読み取り、ひとつづつ入力していく。
作業中の棟方志功みたいだ。

登録作業が終わると晴れて音楽の取り込みが始まった。

iPodの相棒になるiTunesというソフトにはすでに手持ちの音楽を入れておいたので、勝手にコピーされてく。速い速い。らくちんらくちん。

その昔はレコード(!)を録音するには演奏時間と同じだけ時間がかかったものだが、目の前で見る見るコピーされていく。
カセットテープをダビングするのに、コードで二台のデッキをつないだり、カセットを入れるところが二つ並んでるテープレコーダーがあったり、いろいろ苦労や工夫もあったが、すべては遠い過去である。

さらに、どういう仕組みか、アルバム名、アーティスト名、ジャンル名なんかも自動で記録されるので、申し訳ないほどらくちんだ。
すまん、と誰かにあやまりたくなる。
カセットテープのラベルに汚い字でアルバム名を書いていたあの頃がなつかしい。
もう二度とあんなことはしなくて済むのだ。
あの、カセットケースに折れ曲がって入っている紙に曲名を書いていったら欄が足りなくなってどうしよう、なんて悲しい事態はもう起こらないのだ。

iTunesに入れてあった曲をすべて取り込んだので、早速聴いてみる。

う〜む。

この、「曲を聴く」という段階に至ると、別に普通なので、ちょっとつまらない。
何度も聴いた曲ばかりだし。
丸いところをどんなにすりすりこすっても知ってる曲しか演奏されない。当たり前だけど。

 


iPodには、音楽を聴く他にもいくつかの機能があり、テキストデータを保存して表示できるというので、試してみた。
iPodを「ディスクとして使用する」設定にして、目についたテキストファイルを適当にコピーした。

すぐにiPodの液晶に表示して見る。
小さな画面だが、なかなかきれいで読みやすい。

試すだけなので、テキストファイルなら何でもよかったのだが、読んでいて笑ってしまった。
コピーしたのは「日々棒組み」の300番、ファイル名は「300.txt」。
内容はこんなのだった。



300

私はあまり音楽を必要とする人間じゃなくて、ipod nanoに、ハードとしての魅力は感じても、1000曲も録音されてるとむしろ困ってしまう。

というわけで、この金色に輝くSONYのMDウォークマンで充分満足している。
といっても、これもショウヘーがMDプレイヤーを欲しいと言って、誕生日だかクリスマスだかに買ってあげて、それを使ってみて欲しくなって買ったくらいだから、まぁ、音楽との縁はそのくらい遠いわけだ。

でも。

ショウヘーがMDプレイヤーが欲しいと言い出したときは、自分がカセットテープレコーダーが欲しくてしょうがなくて、親に買ってもらった時のこと(やっぱり中学一年生か二年生だった)を思い出して、ちょっと、なんていうか、言葉にできない気持ちになった。

私が買ってもらったのはSONYのstudio1980というやつで、これでたくさんの音楽を聴いた。
甲斐バンド中島みゆき井上揚水RC浜田省吾PANTA&HAL誰がカバやねんロックンロールショウ。

決して音楽人間ではないが、このstudio1980は私をささえてくれた。
なにかでひどく傷ついたり、あんまり言いたかないけど失恋したりしたそんな時。

今夜。
2005年の9月11日。
テレビジョンの選挙速報を見ていて、あまりに気分が悪くなった私は、今の(43歳の)私の愛用の金色のウォークマンを使用した。

ザ・ブルーハーツの「青空」という曲はテレビジョンの画面で見せられているものにあまりにぴったりで怖いくらいだった。
怖くてちょっと泣きたくなったが、歌を聴いていたら泣いてる場合じゃないと気づいた。

詳しくは書かないが、泣いてる場合じゃないのだ。オトーは。
オトーはオトーなので泣く以外にやることがたくさんあるのだ。
あるのだあるのだあるのだ。だからやるのだ。


あははは。
ほんと偶然。

日々棒組み300番は、2005年9月11日の日付だった。
こんなこと書いてたのに一年弱でipodを買ってる。nanoの1000曲どころか、7500曲といわれている30GBのipod。
何があったのだろう?
この一年弱で私に何があったのだろう?
意識しないうちに音楽の必要性が高まったのだろうか?
音楽にささえてもらいたくなったのだろうか?

いずれにしろ新しく買ったこのiPodで、またいろんな音楽を聴いて、いろんなことを乗り越えよう。

なんて、もっともらしいことを書いてると半年後に読んでゲラゲラ笑うことになるかもな。

もうひとつ書き加えておくと、去年はショウヘーのMDプレイヤーを見て私も買ってしまったが、今回は、私のiPodを見たショウヘーがiPodを欲しくなり、あっという間に白いnano、4GBのやつを買ってしまった。
人生はいろいろからみあいながら前へ進んでゆく。

そんなわけで今回は「親子で買ったよシリーズ」の第一弾であった。












シリーズ?



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