私はエド。兵士だ。

ジャングルで作戦遂行中にゲリラに襲われ、味方とはぐれてしまった。
今の私はひとりぼっちだ。

ジャングルを三日間さまよい歩き、水も食糧も尽きた。もう歩く体力も残っていない。

このままでは死を待つのみだ。
しかし私は誇り高きアメリカンソルジャー。
それがソルジャーの運命ならば誇り高く死んでいこう。
死ぬのは怖くない。怖くはない。しかし。

こんなファーイーストのジャングルで死ぬ前にもう一度。
もう一度だけ。
カンザスにいるママが作ったアップルパイが食べたい。

ママのママのアップルパイ。甘―い甘―いアップルパイ…。

はっ!

何だ今の。

幻覚か?
そもそもあれは何だ?何と言う物体だ。

母ちゃんの塩むすび。
俺は味噌のほうが好きだったけどな。

「おやつだ」って味噌にぎり食わされたこともあったな。
うれしかったけど。
おやつにおにぎり食って晩メシにまたコメのご飯食うのな。変だよな。

うはっ!

な、なんなんだ?意味がわからない。

やはり、死ぬのか?
死ぬ時ってこんななのか?みんなこうなのか?

しかし私は世界最強のアメリカンソルジャーだ。死ぬのは怖くない怖くない怖くない。
だがしかし…

もう一度。
もう一度だけ。
ジェニファーとドライブインシアターでいちゃいちゃしたかった…。

ジェニファーのスウィートな唇、バブルガムのような胸の弾力…

あ、そうそうよく遊んだっけなぁ、お稲荷さん。
石段にテニスボールぶつけて「階段ぶつけ」だって。そのまんまじゃん。

屋根にボコボコ石投げて石だらけにしちゃったっけ。バチ当たるよな。



…でも、なんでこんな昔のこと思い出してんだ?

そうか。

あれだ。

人間死ぬ直前に走馬灯のように人生を思い返すってあれだ。

やっぱり俺は死ぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬんだぬん

うわ!
なんだ今の!きもちわりー。
ソーマトー?
ソーマトーってなんだ?
今のがソーマトーか?だぬんだぬんが?

もう末期的だ。
記憶が混乱してる。
死ぬのか?
やはり死につつあるのか?俺は。

しかし。
私はアメリカンソルジャーなのだ。
世界最強なのだ。
怖くない怖くない怖くない怖くはないぞ。

あそうそう。
かくれんぼしてた時によっちゃんがここの縁の下に隠れちゃってさぁ、見つかんなかったんだよね。ずっと。

暗くなってもみんなわかんなくてさぁ。よっちゃんも出てこなくて。



















…え?

それで?

どうなったんだよ、よっちゃんは。
おい。
よっちゃんはどうなったんだよ。

気になるだろ、教えてくれよ。


くそ。教えない気だな…


…いや、待てよ。

最終的によっちゃんが縁の下に隠れていたことが判明してるってことは、よっちゃんは見つかったんだ。そうだそうだ。
よっちゃん発見。

……

よっちゃんて誰だ?




…まさか死体で発見されたってことないだろうな、よっちゃん。

かくれんぼで死ぬかよ。

だからどうでもいいよ、よっちゃん知らないし俺。


ああ、また

意識が

薄れて。

もう、もう。

どうでもいいや。

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..
..

春江おばちゃんて、まだ宇都宮にいるのかなぁ…

ジャングルエド 終

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