日々棒組み  031〜049

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049
「オカーの日記」が始まったので「オトーが書いてる日記みたいな『あれ』」が終ってしまうのではないかと心配している人が2、3人はいてほしいと思う11月3日文化の日、もしくはマンガの日。
多分書いているうちに11月4日になっちゃうけどさ。

なんだか本をガーっと読みたい時がある。
文章をガーっと書きたい時がある。
絵をガーっと描きたかったり、人とガーっと会いたかったり、酒をガーっと飲みたかったり、何かガーっとやりたい時がある。家族とガーっと過ごしたいとか。
不思議と仕事をガーっとやりたいとは思わない。不思議じゃねぇか。

ガーっと何かをやりたい間は生きていたいんだろうなあ、と思う。
体力やらなんやら衰えてるんだろうなぁ、と思う。まだ気になるほどではないけれど。
あれもやりたいこれもやりたいと思いながらやりたい事を選ばなきゃなあ、と思ったりしてる。
でも、選びたくないなぁ、とも思っている。

自分が持っている時間には限りがある。
間違いなく限りがある。
才能にも限りがある。でもそれは気にしてない。なぜか気にしてない。
そういうことじゃないと思っているから。

なんてことを書いてるうちに11月4日だ。
こういうことを書きっ放しにできる日記みたいな『これ』を終りにする気はない。
まったくない。

2002.11.4


048
 芸能ニュースは自分のネタではないということは重々承知しているが、これは書いておかねばなるまい。
「葛山信吾氏結婚」
朝日新聞の見出しは「細川直美さん結婚」だったが、私としては、というか、我が家としてはあくまで「葛山信吾氏結婚」なのだ。もっと言うと「一条さん(『仮面ライダークウガ』での役名)結婚」なのだ。

 ちなみに妻は、「別に誰と結婚してもかまわないが、細川直美はいやだ」と言っていた。
私は別に細川直美でもかまわないが、細川直美の不自然に見開いた目はいやだ。

 ところでこの二人の芸能界でのポジション関係というのはどんなものなんだろう。
片や「仮面ライダークウガ」の葛山信吾、「真珠夫人」の葛山信吾、というように、やや偏った視聴者向けのドラマの人気者、片や、名前は知られているけれど、代表作といえば「サラ金のコマーシャル」の細川直美。
全然違うキャリアだが、私にはこの二人が同じくらいのポジションというか、芸能界で同じくらいの高度にいるような気がしてならない。

 もひとつ言うと、万が一、何年かして離婚してもほとんど話題にならないような気がしてならない。
なんて失礼な。
がんばれ葛山!がんばれ細川!みっつの袋を大事にしろ!

2002.10.22


047
 えー、今日は旅行のお疲れ休みで、一日家にいました。

 おみやげを整理したり、写真を現像に出したりと、多少やることはあったけど、まぁ、のんびりと。
頭のボヤーンもほぼ治ったし。

 普段は見ないワイドショーとか見てると、すごいね。嫁姑の話が。
河合俊一が司会してるやつを見てたんだけど、嫁の母親が離婚していることにいつまでもこだわってひどいことを言う姑とか、嫁が作ったおせち料理をそのまま犬にあげてしまう姑とか。
もう、ホントにこんなやついるのかってくらい。
架空のキャラクターなんじゃないかと思っちゃうよね。

で、こういう番組を「嫁」の立場の人も「姑」の立場の人も見てるんだろうね。
「うちはまだましね」とか、「うちのほうがもっとすごいわよ」とか思いながら。
まぁ、いいけどさ。

 あー、明日からまた仕事かあ。
嫁姑も大変だけどサラリーマンも大変だぜ。

十日も仕事休んでおいてなに言ってんだか。

2002.10.16


046
シェーッ!!おフランス帰りザンス。

と、一生に一度しかできなそうなギャグをとばしてみる。

 本日無事に帰国いたしました。
あちらで入国早々身ぐるみ剥がされるようなこともなく、無事行って参りました。
詳しくは「オトーくん海を渡る」に書きますが、色々盛り沢山で、満腹状態です。
ドイツビールも飲みました。
フランスワインも飲みました。
ベルリンの壁も触ってきました。
だるまも冒険してました。

写真をたくさん撮ったので、整理しながら、まとめていきますね。
今はちょっと頭がボーッとしてます。
これが時差ボケってやつなのでしょうか?

2002.10.15


045
 とりあえず笑ったのが札幌だっけ?西友で不当表示した肉を売って、ばれたから払い戻します、レシート無しでも受け付けます、ってやったら買ってもいないやつらが殺到して逮捕者まで出たってやつ。
テレビのニュースで見て大笑いしちゃったよ。
なんか、「日本むかし話」みたいだよ。
うそつき商人と欲の皮が突っ張った村人。
もちろん正当に払い戻しを受けるべき人たちは除いての話ね。

 まあ、ひと笑いしたあと、ため息が出たけどね。
光に集まる虫みたいなやつらだよね。
朝刊で読んだら携帯のメールとかで「西友に行けば3万円もらえる」って広まったらしいけど、得する話があればとりあえずわらわら集まってくるという単純さ。おまけに相手に弱みがあればどこまでも果てしなく高飛車になれるという、卑しさ。

 笑ってる場合じゃないかもしれない。
これで西友の「不当表示」っていう事件の印象が別のものにすりかわっちゃったもんね。
バカは距離を置いて見ていれば笑えるけど、こんなやつらが身近で大量発生したらうっとうしいったらないぞ。

 でも、こういうやつらがさあ、あの、なんていったっけ?フィリピンの銀行を買収しようとした、ほら、ギトギトしたなんとかって社長、最近逮捕された。ああいうやつに「絶対儲かる投資話」とか持ちかけられてコロっと騙されちゃうんだろうなぁ。
あはれ。

2002.10.01


044
 ああ、もう金曜日だ。
いいなぁ、4日働いて3日休み。楽だな−。ずっとこのサイクルだったら良かったのに。
でも来週は違うんだなぁ。5日働かなきゃいけないんだ。つらいなぁ。人生ってつらいなぁ。
明日は「ウルトラマンコスモス」の最終回だ。淋しいなぁ。人生って淋しいなぁ。

 そんなことはともかく。
最近、文章の生産力が上がっていると思いませんか?私の。
なんか、病気かもしれない。
人に聞いた話だけど、「多言症」っていう病気があって、それにかかると、ずーっとしゃべり続けちゃうんだって。
私のは「多文症」。書かずにいられない病気。病気なんですよ私は。下らない事でも何でも文章にしないと気がすまない恐ろしい病気。

 なーんつって、最近文章をたくさん書けるのは、会社で営業部員にノートパソコンが支給された事と密接な関係があったりして。
会社の人が読んだら顰蹙を買いそうなのでこれでおしまい。

「真珠夫人」ってすげーな。冷めたコロッケ…。

2002.09.27


043
 さしさわりがあるのでハッキリとは書けないが、今日会社で電話を取ったら、遠慮がちな男の声で「御社のホームページの『うまい店ページ(さしさわりがあるので仮称)』にうちの店が載ってるんですけど…」と言う。
実は前にも同じような出だしの電話を受けた事があって、その時は店の電話番号が間違っているという、クレームというか、指摘だったので、ちょっと警戒モードに切り替えて話の続きを聞いた。
「そこに『このお店の感想を掲示板に書き込んで下さい』というのがあって、掲示板を見るとうちの店の『○○店は最悪だ』という書き込みがあってですねぇ」
ありゃ、まずいな。でも会社のホームページに掲示板なんてあったっけ?
「で、その書き込みをした人の名前がうちの社長と同じ名前なんですよね」
そりゃ、いたずらだよ。でも掲示板なんてあったっけ?
私が作っているわけではないので、知らないうちに設置した可能性もあるので、調べて対処しますということにして一旦電話を切った。

 担当者に話したら、「掲示板なんて設置していないし、そんな店も知らない」とのこと。
別のサイトと混同してるかな、と思いながら、今度はネットにつながるパソコンの前から、さっきの人に電話をかけた。

「それはうちとは関係ないよ」の一言で終らせてもよかったのだが、平均的日本人より若干親切で、真相を究明したかった私は、うちのホームページの担当者を隣に置いて、相手の人がどこからどうやってその掲示板に接続したのかを訊いて、同じようにやってみた。
すると思った通り、うちのコンテンツと同じ名前の『うまい店ページ』にたどり着いて、先方の言う通りの書き込みがされていた。検索結果で二つの『うまい店ページ』が並んでいたので、混同したようだ。
うちとは関係ないということを説明して、それは納得してもらったが、「どうしたらいいでしょうか?」という口調になってきたので、サイト自体はしっかりした感じだったので、何なら、あちらの管理人にメールか掲示板で相談したらいかがですかとアドバイスをして(なんて親切!)電話を切った。

 慣れた人が見れば別のサイトであるのはすぐわかるのだが、本人も言っていたが、インターネットとかに慣れていなかったようで混同してしまったようだ。

 不特定多数に公開している以上、慣れていない人も、悪意のある人も見る可能性があって、どこかで誤解されたり逆恨みされたりする危険は常にあるわけだ。
知らないうちに悪い評判が広まってたりする事も無いとは言えない。
俺も気をつけよーっと。

2002.09.27




042
 もうすっかり秋だ!吹き抜ける風も秋の匂いだ!
今日、新宿御苑の横を通ったらセミが鳴いていた!
バカメ。もう秋なのだ。季節を感じられない鈍いやつめ。
カレンダーを持たない下等生物め。
七年間も地中で暮らす日陰者め。秋の気配を思い知れ!

 と、なぜいきなり虫けら相手にムキになっているかというと。
暑かったんだよね。昼間。
こっちは暑い中営業で歩き回っているのに、うれしそうに(そう感じた)鳴いてるセミが憎たらしかったんだよね。

 で、本題だ。
パスポートを取った話だけ書いて、使い道の話をしてなかったけど、やっと決まりました。
会社の海外研修に「行く」ことだけは決まっていて、行き先が決まってなかったけどやっと決まりました。
フランクフルト→ベルリン→パリと回る事に決まりました。
アルベルトの国からフランソワーズの国へ!
当然、出発準備から帰国まで、サイトのネタにすることにしました。
私は海外に行った事がないので、何をどうしたらいいのかまったくわかりません。
ドイツ語もフランス語もいっこも知りません。
一応「オトーくん、海を渡る」というタイトルを考えましたが変えるかもしれません。

 ということでひとつ。
ネタができてうれしいオトーでした。
あ、もちろんダルマも連れて行きます。

何しに行くんだか。

2002.09.20


041
 結婚記念日から一夜明けたら雨だった。

 今日は部屋の模様変えを敢行することに決定。
本やら、思い出の品々やらを片付ける。
思い出の品々は、ホントになつかしい物や、ホントに無駄な物やら、いろいろだった。
昔描いたマンガが出てきた。あはは、へたっぴだなぁ。でもとても捨てられないので保存。
会社で受けさせられたパソコンの講習のテキストが出てきた。5インチのフロッピー・ディスクが入っていた。何が入ってるんだろ?でも、読めるドライブが無いのでゴミ箱へ。

 本棚を移動してベッドの向きを変える。
妻が製作したベッドの下の巨大引き出しはこの向きでは使えないことが判明したので解体されることに決定。
廃材はまた何かに生まれ変わることでしょう。
そしてまたネタになることでしょう。それまでさようならー。

 さて、妻の苦心の巨大引き出しを犠牲にしてまでも部屋のレイアウトを変えなければならないその理由とは?
それもやがて明かされる日が来ることでしょう。それまでさようならー。

2002.09.16


040
西暦2002年9月15日 くもり

 朝起きたら息子に「おめでとう」と言われた。「?」と思ったが時々変な事を言うやつなのでわけがわからないまま「ありがとう」と言っておいた。

 ビデオに撮っておいた今朝のハリケンジャーやら、龍騎やら、おじゃ魔女やらを見る。
午後から、かねてからの計画通り、映画『リターナー』を観に行く。
どうせなら大きな劇場で、と有楽町まで電車で、って、おあ!今日、結婚記念日じゃん!

 忘れていたのがバレバレになったまま映画鑑賞。
期待通り。
期待以上ではなかった。
『ジュブナイル』の監督ということだが、『ジュブナイル』は、子供時代のパートは私にとって、ほぼ完璧と言っていいくらい良かったのに、主人公が大人になってからのシーンが長過ぎてしらけてしまったという哀しい思い出がある。
『リターナー』では、そういうはっきりここがダメ!っていうのはなかった。
というか、まとまりすぎてるような印象を持った。ゼータクな感想かな。
鈴木杏はとてもいい。
あるシーンでホロっとしてしまった。
でも、心の深いところに届くものは無かった。そんなもの、求めるほうが、間違ってるのかもしれないけど。
自分が、映画を含めたフィクションに何を求めているのか考えてしまった。
実はその答えはかなりはっきりしているのだが、ここには書かない。

 お祝いにケーキを買って帰宅。
結婚記念日おめでとうの乾杯。
借りていた『千と千尋の神隠し』のDVDを観る。
面白いっていえば面白い。でも。と思ってしまう。
ものすごくヒットしたらしいけど。でも。

 誰かが、ミッキー・マウスがアメリカで人気者なのは、アメリカ人たちの「私たちはネズミですら愛することができるのよ」という意思表示じゃないか、って書いていたのを読んだ事があって、『千と千尋の神隠し』や、ここんとこの宮崎アニメのヒットって、それと同じではないけれど、やや近い現象なんじゃないかと思ってしまった。

 贖罪のためにあの手の映画が観られているのだとしたら、私は抵抗を感じる。
私はひねくれているのだろうか?
いや、ひねくれていても一向にかまわないのだが。

2002.09.16


039
 『クイズ・バーチャQ』が終ってしまった。
 始まった時は「なんだこりゃ、どっかで見たようなクイズばっかりだぞ」とみんなでイチャモンつけていたが、実は毎週ムキになって答えを考えていたオトー家であった。
最終回は「全問正解!」を目指して臨んだが、二問目で早くも挫折してしまったよ。

 あんまり力が入ってない番組だったけど、終わり方も含めて、不思議な番組でした。
短い間勝手に楽しませてもらいました。
 
 ウルトラマンコスモス→風呂→クレしん→バーチャQ→USOジャパン、という、我が家の土曜日テレビプログラムが崩れてしまうな。
ウルトラマンももうすぐ終るみたいだし、我が家的に番組再編成を迫られてるな。
 
 日曜朝は小市民の幸せをもう何年も安定して供給してくれているな。
土曜の夜から日曜の朝はサラリーマン家庭にとって、幸せを実感する、とても大事な時間だからね。よろしく頼むよテレビ朝日。
って、スーパー戦隊とか、仮面ライダーとか楽しみにしてるサラリーマンって、少数派なのかなぁ。
そうでもないような気もするなぁ。
でも多数派だったらすごくイヤだなぁ。
そんな日本はやだなぁ。

2002.09.14


038
 もうひとつ「言葉」に関係ある話。

 何日か前に朝の通勤電車の中で、「押した、押さない」みたいな原因で、中年サラリーマンおじさんと、若いOLのおねえさんが言い合いを始めた。
 こういう場合、元々はどちらも悪くも良くもないんだろうな、と思うが、むしろ朝から人と言い争うテンションの高さに感心してしまう。

 どちらかというとおじさんの怒り度数のほうが高い感じだったが、やがておじさんが言った。
「お前だけの電車かよ」
 OLが律儀に答えた。
「違いますよ」
 そりゃそうだよ。違うに決まってるけど、だからといっておじさんが正しいということにはならないよ。

 こういう議論(ってほどのレベルじゃないけど)で、答がわかりきっている質問を投げつけて、わかりきった答が返ってくることで、自分が正しいような雰囲気を獲得しようとする人がいるけれど、これは完全に間違っている。というか、ずるい方法だ。

 「消火器を買ってください。火事になってもいいんですか?」
 「外国人を排斥しましょう。家族が外国人の犯罪の犠牲者になってもいいのですか?」
 「核兵器を装備しましょう。ヨソの国が攻め込んできて日本人が皆殺しになってもいいのですか?」
 みんな同じ用法だ。
 わかりきった質問に答えさせることで、つけ入る隙を作ろうとしている。
 電車の喧嘩と同じレベルで大事なことを決めることにならないように気をつけたいものだ。

 で、電車の二人はどうなったかというと、二人の言葉が途切れた瞬間に、そばにいた若い男が、黙って二人の間にすっと入って、それでおしまいになった。
 言い合いがエスカレートする前に、お互いの視界から相手を消して終わらせてやったって感じだった。長引くと双方引っ込みがつかなくなるからね。
 鮮やかでした。若い男。
 こういう対処の仕方もあるのかと感心してしまった。
 口で「やめろよ」というよりいい方法だな、と思った。まぁ、このケースではってことだけど。

2002.09.13


037
 きのうの夜ニュースを見ていたら、民主党のなんとかって人が、何かに「命をかける」と力んで拳を振り上げていた。
 具体的でない目標になら命だってキンタマだってかけられるよなぁ、と思いつつ、「お前の命はどうでもいいから俺たちの命を守ってくれよ」と軽く突っ込みを入れておいた。

 そう言えば少し前に平均株価が9000円を割ったとかで(こういう話は詳しくないんだけど)、ちょっと騒ぎになった時に、「株価は上がったり下がったりするものだ(だからあんまり騒ぐな)」と、あたかも問題など存在しないかのように言っていた人がて、こういう物の言い方は現実から目を逸らさせようしていると思ったが、こっちには「下がったり下がったり上がったり下がったり下がったりだから困ってるんだろ(私は困ってないが)」、と突っ込んでおいた。

 問題は株価の上下やその原因ではない。
現実を見据えて語られなければいけない場所で、現実と関わっていない言葉や、関わらせないようにするための言葉ばかり耳にするということだ。
食品の不当表示なんかも根っこは同じだと思う。
言葉って、なんだろうと考えてしまう。
(くだらない話をさんざん書いている私が言うのも身が縮むが)

 そんな事を考えていたら、今朝、通勤に使っている駅のロータリーに、イチゴケーキの写真のポスターが掲示されていた。
駅前には「不二家」があるので、そこのポスターかな、と思って見てみると、「人気より景気。民主党」の文字。
膝がカクンと折れた。

私は言葉には力があると信じている。
昨夜と今朝の虚しい言葉攻撃は、私の体からエネルギーを吸い取る力を持っていた。
と同時に、「自分の身は自分で守ろう」と、固く決意させる力も持っていた。

負けちゃいけないよな。

2002.09.10


036
 関東地方本日は雨である。
 まぁ、人間なんて勝手なもんで、カーッと晴れたら「暑くて外なんか歩けねえよ」と文句を言うし、雨が降ったら降ったで、「濡れちゃうじゃねぇかよー、外回りなんかしたくねーよー」で、我が営業部はブータローの集まりになっている。

 子供のころは雨の日には、「雨が降らないとお百姓さんが困るでしょ」と大人たちから言われたものだ。
 あたかもお百姓さんのために我々は我慢しているのだ、お百姓さんの犠牲になっているのだ、というような言い草だが、明らかに間違った認識である。
 職業や肩書きに関わらず、すべての人類は雨が降らなければ困るだろう。
いや、人類だけではない。すべての生物、生きとし生けるものはみな、雨が降らなければ困ってしまうのだ。死んでしまうのだ。
ズボンにハネが上がるくらいなんだというのだ。
靴の中が濡れて、歩くたびにグッチョグッチョとなって気持ち悪いくらいなんだというのだ。
全人類のためなのだ。
すべての生きとし生けるもののためなのだ。
全人類のために我々営業マンは我慢して雨の中、外回りをしているのだ。
すべての生物のために犠牲となってズボンにハネを飛ばしているのだ。
だから全人類並びにすべての生命たちよ、雨の日には営業マンに感謝しよう!

って話。


2002.09.06


035
もー。
暑いよ。
って話はいいんだけど。
よくないか。

 きのうテレビの天気予報で、「明日も厳しい残暑が続くでしょう」とかぬかしてるから「なんだよー、もーいいよー」と画面を見たら、日本地図の上にでっかい太陽マークがベターっと貼ってあったよ。
でかい太陽がいっこ。
本州をほとんどおおってたよ。青森県と山口県しか見えなかったよ。
あれは絶対ふざけてやってるな。
アナウンサー、ニコニコしてたし。

 雨が降るとかって話だと何%とか、あいまいで自信なさげなのに、厳しい残暑はやけにきっぱり断言するよなー。
視聴者に少し逃げ道を残してくれたっていいと思うんだけど。
「厳しい残暑が続く気配が濃厚ですが、まだそうと決まったわけではありません」
とか。
「最後まで希望は捨てないで下さい」
とか。

かえって腹立つか。

いやー、しかしノゲイラは凄い!
いきなり関係ない話。しかもこれでおしまい。

2002.09.03


034
 申請したままで取りに行ってなかったパスポートを受け取りに行った。
おお、これがパスポートというものか。
ずっと昔に「パスポートサイズ」というのをコマーシャルで自慢してたビデオカメラがあったけど、当時はパスポートというものの実物を見たことがなかったので、大きさ(もしくは小ささ)を実感できなかったが、これでわかった。
このくらいだったのだ。
あ、でも、パスポートって、大きさ変わったんだっけ?
てことは、私はもう一生、あのビデオカメラの大きさ(もしくは小ささ)を実感できないのだ。一生。
別にいいけど。

 とにかくこれで私も海外武者修行が可能になったのだ。
場合によっては海外逃亡も可能になったのだ。
日本にいられなくなったら海外へも逃亡できるのだ。
全国指名手配になっても、あの国やあの国やあの国に逃げられるのだ。
って。
空港で捕まるか。このパスポートで逃げようとしたら。
やっぱり逃亡は国内にしておこう。
言葉通じるし。

 山奥のひなびた温泉宿。ひなびた。
逃亡中の身の上ゆえ、ぜいたくは言わないが。
できたら肩こりに効く温泉で。
できたら食べ物も旨くて。
できたら美しい未亡人の女将(おかみ)がいて。
あくまでできたらだが、恋に落ちる、と。
しかし私は逃亡中の身の上。女を幸せにはできない。

「俺は女に不幸を運ぶ配達人さ」
「そんな男ならたくさん見てきたわ」
長い睫毛を震わせながら自分の細い指に視線を落とす女将。
思わず俺の目もその細い指先に。
「…でもあなたは…」
「?」
「あなたは…」
「俺は?」
「目の奥に星の輝きを持っているわ」
視線を上げ、私をまっすぐに見つめる美しい女将の美しい瞳。
見つめ合う目と目。触れあう心と心。
だがしかし。
二人が初めて心をかよわせたその時には、ふもとの村には追っ手が迫っていたのであった。

つづく(うそ)

 まだまだ厳しい残暑が続きそうです。
外出の際には帽子を着用するなどして、頭部を直射日光から防御することをお薦めします。
でないと私みたいになっちゃいますよ。

2002.09.01


033

♪すき〜な季節は はぁるとあきぃ〜

♪暑いのキライ 寒いのキライ

♪流れる汗はだぁいき〜ら〜い〜

♪ふんわかポワンと い〜き〜て〜ま〜す〜

 今日は歌で攻めてみました。

 ほら、今テレビで水泳やってるじゃない。今日は見なかったんだけど。
多分誰も訊いてくれないと思うけど、もしも誰かに「パンパシ水泳の見どころはどこでしょう?」と訊かれたら、俺はきっぱり答えるね。
「それはイアン・ソープ
の鼻である」

どぉ〜も、イアン・ソープの鼻が気になってしょうがないんだよね。
イアンの鼻が。
尖ってるよね?イアンの鼻。
あれが早さの秘密だと思うんだよね。
あそこでシューって水を切ってるんだよ。シューって。
で、ターンの時はクルクルシュシュシュって、水を切り裂いてると思うんだけどどうかしら?
どうかしら?こんな私。

あ〜見たいな〜、イアンのターン、スーパースローカメラの水中撮影。しかも鼻のアップ。
きっとすごいよ。クールクルクルシュシュシュシュシューって。
人類の鼻というものに対する認識を一変させるね。

俺だってさぁ…
いつもこんなこと考えてるわけじゃないんだよ。

2002.08.28



032

 ほら、今水泳のテレビやってるじゃない?って、またその話かよ。
見てたらさぁ、「ミスター・バタフライ」ってやつがいるんだよね。日本男子で。
名前より大きく「ミスター・バタフライ」って書いてあるから笑っちゃったけど、ちょっとうらやましかったなぁ。
「ミスター・バタフライ」!「ミスター」だよ「ミスター」!
俺もいつかは「ミスター何とか」って呼ばれる男になりたいもんだと思ったね。
いつかはね。
 で、ミスター『何』と呼ばれたいのかって考えたら、そんなのひとつも無いんだよね。
だから俺は旅に出るね。ミスターと呼ばれるために。
俺のミスター『何』を見つけるために。
なんてのは全然ウソなんだけどさ、全然て言えば、イアン・ソープの鼻って全然曲がってないじゃん。
曲がっていたのは俺の目玉か、根性だな。

2002.08.26


031
 床屋に行って「今日はどうしますか?」と訊かれて、どう答えるかというのは、もちろん人それぞれだと思うが、私は「スポーツ刈りより少し長いくらいに」と言うことにしている。
 
私はいつも短かめの髪型なのだが、時には床屋のほうで遠慮して、やや長めにしてしまうことがある。
ある日、「スポーツ刈りより少し長いくらいに」と言って切ってもらったところ、ばっちり、私の望む短さにしてくれたので、やってくれた人に、「このくらいにしてもらうには何て頼めばいいんですかねぇ?」と訊いてみた。
「スポーツ刈りより少し長いくらいに」という頼み方は、なんだかあいまいで、わかりにくいんじゃないかと思っていたのだ。
私の質問にその腕のいいおねぇさんは、「そうですねぇ…やっぱり…スポーツ刈りより少し長いくらい…ですかねぇ…」と答えた。
そういうわけで「スポーツ刈りより少し長いくらいに」という指示は晴れて正式の発注方式ということになり、それ以来私は堂々と「スポーツ刈りより少し長いくらいに」と言って切ってもらっている。
毎回同じ言い方ではつまらないので、「スポーツ刈りより“やや”長いくらいに」とか、「“若干”長めに」とか言ってみたりしているが、意味は同じだ。
そのうち“そこはかとなく長め”という言葉も使ってみたいと思っている。

 本当は『ブレード・ランナー』の時のハリソン・フォードというのが理想の髪型なのだが、そんな頼み方は一生できないだろう。

2002.08.25

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