活字の子

〈映画の見方〉がわかる本
  『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで 

町山 智浩 (著)  洋泉社
2006.2.5

間違っても「映画好き」ではない私であるが、映画について書かれた文章を読むのは好きだ。
その根っこは洋泉社MOOKの「映画秘宝シリーズ」だった。
っていうか「映画秘宝シリーズ」だけが好きだった。

超有名な映画から、知られざる名作まで、いや、どちらかと言うと「知られざる駄作」まで。
愛情があるんだか無いんだか、斜に構えてるのか他人が目をそらしてることを見据えているのか、とにかく、こそげ落としてきたようなマニアックな記事が多くて、中毒のように読んでいた。

各MOOKのタイトルも秀逸で、中でもブルース・リーとカンフー映画を特集した「ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進!」という書名は、大傑作だ。
ブルース・リーとカンフー映画が大流行した当時を知ってる人にはこの書名のすばらしさがわかってもらえると思う。

もしも誰かに、
「書名としてこの世で一番優れていると思われるものは何ですか?」
と問われたら、胸を張って、
「それは『ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進!』である」
と答えることにしている。

誰もそんなこと訊いてくれないけどさ。

で、その「映画秘宝シリーズ」の、「編集人」だったり、「機長」だったり、「圧力」だったりした町山智浩が、雑誌の「映画秘宝」に連載していたものに加筆してまとめたものが本書である(やっと本題だ)。

この本で取り上げられているのは、私であっても「何らかの形で観ているか、観ていなくてもだいたいどんな映画か聞いたことがある」、超有名作である。

サブタイトルが、「『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで」となっているが、公開年は、1967年から1979年までになる。
私(著者も)が、5歳から17歳の間に公開された映画だ。

この中で私が公開当時に映画館で観たのは、『ロッキー』と『未知との遭遇』だけだが、他の何本かは後にいろいろな方法で観ている。

『2001年宇宙の旅』が、なぜさまざまな「解釈」を必要とする「難解」な映画になったか、そして、『時計仕掛けのオレンジ』との関連、『ダーティーハリー』、『ロッキー』、『地獄の黙示録』の、映画そのものの成立と密着した、撮影に関する裏話。
『猿の惑星』シリーズは、一作目以外は「なんだかなぁ」だったが、これを読んで、少し違った見方がありそうに思えてきた。

どれを読んでも、もう一度その映画を観なおしたくなる。
そして観ていない映画を観たくなる。
そういう本

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