さすらいロボ ヤスジロー 

2002.3.31

第16話 ロボ、日本で目覚める。

ドンッ!

ドンッ!

ドンッ!

バキッ!

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7月13日 10:02:05 AM
東京・コスゲデンキ本社宿泊施設

03:40:58 PM コスゲデンキ本社ビル2F研究室

「いけないわ。カツヒコさん」
「なぜなんだ?!ミキエさん!僕はあなたのために、地位も名誉も捨てたと言うのに!」
「あなたは私のことを何もわかっていらっしゃらないのよ」
「まだそんなことを!」
「ああぁっ。いけないわ。ああっ」


「こんな映画見せて、何がわかるんでしょうねぇ」
「これが『くだらない』の波形だってことがわかるんだろ」
「『女の髪型が変だぞ』の波形かもしれませんよ」
「『男のもみあげ長いぞ』の波形かもな」
「ははは」
「…でも、こいつはなぜ、物を壊すんだ?部屋のガラスを割っちゃったらしいじゃねぇか。そういうことができないようなプログラムになってるんじゃないのか?」
「ミキエさん!こ、これは?!」
「多分…」
「こんなところにこんなものが!」

「迂回したんでしょう」
「ウカイ?」
「感情回路から行動判断に至る過程のどこかで『これは破壊的行動ではない』という判断を下すような論理的迂回をして、破壊行動を正当化したのだと思います」
「ホントか?」
「え?あ、いや…」
「見てしまったのね…」
「いいかげんだなぁ」
「とにかく何かしないと…」
「感情の起伏があるから、物を壊すんだろ?なら、その起伏がなくなるようにしちまえばいいんじゃないか?」
「ある程度そういう調整をしてると思いますけどねぇ、アメリカで」
「私の祖父はこうもり男だったの」
「なんだってぇ!」
「わかんねぇぞ。あいつらおおざっぱだから」
「そうですかねぇ…」
「もう、おしまいよ!」
「そ、そんなことはない!実は、ぼ、僕は、…」

「そうだよ」
「そうですよねぇ…」
「僕は…コ、コ、コ、コブラツイストなんだぁ!」
「カツヒコさん!」
「ミキエぇ!」
「…今のは絶対に『くだらない』の波形だな」
「間違いありませんね」

04:52:00 PM 東京都千代田区 日比谷通り
コスゲデンキ会長専用車内

「ローリング主任は今朝の便に乗りませんでした。休暇届を出して東京に滞まったようです。いかがいたしましょう?」
「何もせんでいい。」
「P3000が本社に到着しておりますが、今日、お会いになりますか?」
「お前はあたしを殺す気かい。あたしゃ、あのじいさんと会っただけで今日の力を使い果たしたよ。
どうして政治家ってのは自分の話ばかりするんだろうねぇ。お前の生い立ちなんか誰も聞いてないって」
「そろそろ政治的折衝も良輝社長にお任せになってはいかがですか?」
「はぁ…。そうできればねぇ。自分が腹を痛めて生んだ子のことをこう言うのは何だけど、あのボンクラには任せられないよ。笠原」
「はい」
「いっそ、お前に社長を任せようかね」
「!か、会長。わ、わ、私などにはとても、よ、良輝様をさしおいて…組織の人事が…専務もいらっしゃいますし、いや、会長の御意志であれば、取締役会を説得…」
「冗談だよ」


04:59:20 PM
「ええ、愛しています。生きとし生けるものすべてを」
「お届け物だよ〜」
「あ〜、来ちゃったよ。奥に置いてくれよ。今日はこいつで手がいっぱいだ」
「こっちでいいの?お!『愛、そしてはばたく翼』だね」
「下らなくて死にそうだよ」
「ははは、ごもっとも。なんで社長はこんな映画に出資しちゃったんだろうな」
「ボンクラなんだよ。あの坊ちゃんは」
「♪そうよ〜目ぇと目ぇ〜見つめあい〜♪」
「もうひとつのほうがもっとすごいぞ。あれは使わないのか?大トカゲが出てくる、え〜と…」
「『骸骨花嫁の洞窟』だろ。あれはそいつに使うよ。P3000のほうに」

「そうか。ロボットが怒って暴れるかもしれないから気をつけろよ。じゃ、お先に」
「お疲れ〜」
「♪笑顔で〜乗り越えるの〜地球の危機を〜♪」

「…ヤスジロー」




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■緊急再起動

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..
・・
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「おはよう。ヤスジロー」
「…おはようございます…」

「…あなたは…
なぜ私のフェイスプレートをはずしたのですか?」

「…見せてくれよ…」

「おまえの心」

第17話 ロボ、接続を拒否する。につづく

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