日々棒組み  281320
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320
インフルエンザである。

オカーとアヤがインフルエンザである。

なんと、オトー家の人口の50パーセントがインフルエンザなのである。
「猛威を振るう」とはこのことだ。

ちなみにショウヘーは、なぜか「ただの風邪」である。
インフルエンザよりは「猛威」具合はやや落ちるが、オトー家の人口の25パーセントが「風邪」であるという事実は見逃してはならない。

そして、オトー家の人口の、実に75パーセントが「病人」であるという恐るべき事実。

オトー家始まって以来の大ピンチである。
昔観た、『復活の日』という映画を思い出してしまうような大惨事である。

しかし。

タミフル服用の効能であろうか。
アヤは元気である。

熱があるのに、ぐったりしているオカーの周りをパタパタ走り回って、さらにオカーをぐったりさせたりしている。

やや食欲が無いのか、夕食のコロッケを半分かじりかけで残していた。

「おとうさん アヤのコロッケ たべていいよ」







うん…





うん…























遠慮しとくよ。

風邪やインフルエンザは、「空気感染」とかだと思ったけど。
新たに「コロッケ感染」という感染経路が発生しそうなオトー家であった。
2006.1.27


319
そんなわけで。
アヤもとうとう3歳です。
無事に、健康に育ってくれてなによりです。

数日前、
「誕生日には何が欲しい?」
と訊いたら、
「おとうさんのと おなじ ゴジラの DVD」
私が持ってないDVDにしてくれよ、と思いましたが、怪獣が好きな3歳の女の子ってどうなんだろ?
私には都合がいいけど、どうなんだろ?
ケーキはマジレンジャーのケーキだし。

まぁ、いいや。
元気に育ってくれれば、怪獣でも妖怪人間でも好きになってくれて。




あ、


でも、


妖怪人間に嫁にはやらないよ。
2006.1.16


318
「つくづく」という言い方がある。
つく「ず」くなのか、つく「づ」くなのか迷いもあったが、「つくづく」でまとめてみた。

なんて話じゃなくて。

きょうつくづく思ったよ。
俺はほんとに勤労に向かないな。

八日ぶりに働いて、泣きそうになったもん。つらくて。
特に午前中。
ほとんど仕事がはかどんないのにあっという間に昼になっちゃったよ。
しょうがないから昼飯食ったよ。
いちんち働いてへとへとだよ。

楽させてくれよ。もういい歳なんだから。
最近、お茶とか飲んでてよくむせちゃうんだから。
歩いてて何にもないところでつまづいたりするんだから。
ペ・ヨンジュンって言おうとして、チョー・ヨンピルって言いそうになっちゃうんだから。

なんかこう、日本全国温泉めぐりとかしながら静かに静かに老いていきたいなぁ。
2006.1.5


317
年賀状を出しに行くのも娯楽に感じられる暇な日々よさらば。
俺は明日から会社に行くよ。
ふつかだけ。

二日行ったら三日お休み。
素敵な勤労リズム。

来週が長そうだけど今は考えないでおこう。

あー、早く仕事がしたい。
ふつかだけ。



早くゴールデンウィークになんないかなぁ…。

毎年こんなこと言ってるような気がするけど。
2006.1.4


316
謹賀新年。
私は風邪気味のまま年を越してしまいました。
気合で直そうとしましたがだめでした。

大掃除的なことはいちおう済ませた的です。
年賀状も作ってプリントしました。

あとは宛名を書くだけです。

前にも書きましたが、うちは、「キタラカクシステム」を採用していますので、明日届いた年賀状に明日宛名を書いて投函することになります。

キタラカク。

ユビキタスみたいでちょっと今風。




お前らは俺みたいになるなよな。
2006.1.1


315
アヤが、こたつの板におでこをぶつけて痛がっていたので、

「痛いの痛いのドロドロに溶けて地面に浸み込め〜」

と言ったら、

「やだ」

と言われた。
そうかい。いやかい。

でも、「痛いの痛いの」を誰かに飛ばして苦痛を与えるなんて、非人道的だと思わないかい?
娘よ、そうは思わないかい?

だが、「痛いの痛いの」を地面に浸み込ませるのは、環境問題に発展する恐れがあるかもしれない。
地球に優しくないのかもしれない。
娘よ。
お前がそこまで考えているのなら、お父さんはもう何も言うまい。
200512.18


314
アヤと公園に行ったら、小学生がブランコの横で百円拾ったのを目撃した。

「あ、それおじさんのだよ」

と取り上げてしまおうかと思ったが、鋼鉄の理性で思いとどまった。

砂場、ブランコ、滑り台。
アヤの後ろを付いて回る。

天気がよくて暖かいが、地面は枯葉でいっぱいだ。

ふと見ると、直系30センチくらいの円で、枯葉が渦を巻いている。
小さな木の葉隠れの術みたいだ。

「風が」

と指さすと、アヤが駆け寄っていって、また戻ってきた。
遊んでいた小学生たちも気づいて見とれている。

渦巻きは、枯葉と砂ぼこりを舞い上げながら、滑るように静かに移動して行く。
砂ぼこりに陽光があたって、枯葉の渦巻きに天から光が注いでいるように見える。

発見してから30秒くらいだったろうか。
渦巻きは静かに消えた。

「アヤ、あのうえをとおりたかった」

そうか。通りたかったか。
お父さんは静かに見ていたかったよ。

アヤは木の枝を拾い、地面に絵を描き始めた。座り込んで。

ガリガリと地面をひっかいている。

「何描いてんの?」

「くじら」

なるほど。ちょっと怪獣ヘドラにも見えるが。
鯨の尾まで無事に書き終わり、アヤは最後にシュッシュっと、二本の線を書き足した。

「なにこれ?毛」
と訊くと、
「みず」

なるほど潮を吹いてるのか。

「アヤ、こんど いるか かこっと」

と言って立ち上がり、8メートルほど移動して、

「ここで」

と座り込んだ。
鯨とイルカは棲息地が違うらしい。

しかし、描いているうちに、

「ひれが ついたから おさかな」

イルカを描いているうちにヒレみたいなものが描けたので、お魚になってしまったようだ。
さらに描き足されていって、長いお魚になっていった。

「長いお魚だねー、リュウグウノツカイみたいだねぇー」

と言うと、

「ちがうの これは おじさまばった」

また変わったみたいだ。でも「おじさまばった」?

「おじさまばったなの?」

「ちーがーう わげさまばった」

私の聞き違いだったようだ。でも「わげさまばった」?

「そうかー、わげさまばったかぁー」

「ちーがーうー わげさばったー」

言ってるうちにどんどん変わってゆく。よくあることだが。

「わかったわかった、わげさばっただね」

「ちーがーうーったらぁ わ・げ・さ・ま・ぶっ・と・ばっ・たぁー」

わげさまぶっとばったー?

「渚のシンドバッドみたいだね」

「ね」

暖かい冬の休日の公園。
小学生は百円拾い、枯葉の渦には光が降り注ぎ、わげさまばったはわげさばったで、それはまたわげさまぶっとばったでもあり、渚のシンドバッドにさも似たりだ。
200512.10


313
夜の八時、用事があって会社からオカーに電話をかけた。

用事の会話が済むと、少し遠くなった音量で、

「お父さんだよ、お話しする?」

という声が。

微妙な間のあと、アヤが出る

「もしもしー、はやくかえっておいでー」

「はーい。アヤ、ごはん食べた?」

「たべたよ」

「何食べたのー?」

「こむぎこ」

コムギ…

「他に何食べたー?」

「でんでんむしのスープ」


……




私が会社で働いている間に、オトー家の食卓はなかなかシュールなことになってるみたいだ。
2005.11.22


312
オカーから聞いた話。

アニメ『それいけ!アンパンマン』、きょうのわるものは「くらやみまん」。
いつになく強敵で、アンパンマンが大ピンチ。
めずらしく弱音をはくアンパンマン。

「もうだめだぁ〜」

それを見ていたアヤ、

「そんなこといわないでもっとがんばってよぉ〜」










アンパンさん、


あんたもいろいろ大変だとは思うけど、

うちのかわいい娘のために、もうちっとばかしがんばっておくれでねいかい。


2005.11.19



311
七五三。

きょう、アヤの七五三をやった。
ショウヘーのお宮参り、ショウヘーの七五三、アヤのお宮参り、をやったいつもの神社だ。
あと初詣もここに来る。

申し込みをして、お祓いをしてお神酒をいただいておしまい。
あ、あと写真をバカバカ撮ったね。

赤い着物はとってもかわいかったが、髪の毛が少ないので、偽毛を仕込んで、本当の毛で覆うようにして髪型を作り上げていた。
ハゲオヤジのバーコードの技術と通じるものを感じさせる。

草履は歩きにくそうだったな。
神社の石畳は靴でも歩きにくいからね。

出店でマジレンジャーの綿アメを買って帰った。
女の子向けのアニメの絵のやつもあったが、目もくれず、

「どれにする?」
「マジレンジャー」

即決だった。

帰ってきてから、近所の人に着物姿を見せて、さんざん「かわいいかわいい」言わせた。
せっかくお金かけてるからできるだけたくさんの人に見せなきゃね。

いつもの休日のようにアヤとお風呂に入った。

「七五三楽しかった?」
「うん」

「また七五三やりたい?」
「うん また しちごさん やりたい」

「次は七歳だけどね」
「なんで?」

「しちごさんのしちは七だからね」
「なんで?」

「しち、は、なな、だからね」
「なんで?」

「…じゅ〜うしてお風呂出てご飯食べよっか?」
「うん!い〜ち、に〜い…」

ちなみに、はじめは、「しちごさん」を「いちごさん」だと思って楽しみにしていたアヤさんであった。

「みかんさん」とか「バナナさん」とかあれば楽しいのにね。



次は7歳か。

7歳の七五三は、日々棒組みのNo.753で報告することをここに誓います。
2005.11.13


310
そんなに出会わせたいのか。

仕事の連絡に電子メールを使っているが、仕事のメールと同じくらいか、日によってはそれ以上の数の迷惑メールが配達される。
いちいち目を通すことは無いが、そのほとんどが出会い系サイトがらみのメールだ。

ここんとこ、掲示板にも出会い系サイトの紹介の書き込みが続いている。


そんなに出会わせたいのか。
そんなに俺と誰かを出会わせたいのか。

ブログのトラックバックも、行ってみると、一応ブログの体裁になっているが、どう考えても出会い系サイトへの入り口になってたりする。
たいてい極端な上目遣いの女の写真が載っていて、「私もここに登録してまーす」なんて、出会い系サイトへのリンクがあったりする。

出会いたいやつはみんな上目遣いなのか?

出会い系で知り合って、首尾よく直接出会う約束したりすると、待ち合わせ場所にやって来るのか?上目遣いの女が。むこうから。上目遣いの女が、上目遣いのまま接近してくるのか。

で、
「はじめまして」
とか言うのか?上目遣いのまま。

怖いわ。

だから私は出会い系サイトは利用しないことにしている。
怖いから。
上目遣いが。
2005.11.10



309
きょうは市長選挙の投票日だったので、アヤと二人で投票所になっている小学校(ショウヘーの出身校)へ行った。
公職選挙法に違反することなく投票を終え、校庭のほうへぶらぶら行ってみた。

鉄棒を見つけたアヤが駆け寄って、ぶら下がる。ただぶら下がる。

「おとうさんも やってみて」

私がぶら下がるには低すぎるが、膝を曲げてぶら下がってみた。

「そうじゃないよ こうだよ」

アヤがぶら下がって見せる。
私のはどこか何かがダメらしい。

「ここじゃ低すぎるからあっちに行こう」

隣の、やや高い鉄棒に移る。

「おとうさん てつぼう できるの?」

で、できるさ。

「アヤ、ぶつかるからちょっと離れてて」

ぐるん、と逆上がりをして見せる。
何十年ぶりだろ逆上がり。アヤに拍手された。

「おとうさん すごーい」

が。
痛い。
腕の付け根の背中側が引きつったように痛い。
拍手しながらアヤが言った。

「もういっかい やって」

あはは。もういっかいか。
もう一回くらいなら何とかいけるかな。

ぐるん。
携帯電話と自転車の鍵を地面にばら撒きながら一回転。
腕の付け根の背中側が渦巻状に痛い。

パチパチパチ。

「おとうさん すごーい もいっかいやって」

「あ、アヤ、あっちにブランコがあるよ」

「ブランコやるー」

親孝行な娘がブランコめがけて駆けて行った。




追伸:私の文章力不足で、逆上がりをするとどこがどんな風に痛くなるかよくわからないという方は、ご自分で逆上がりをすれば確認できると思います。
変なところが変な風に痛くなっても私は一切責任は負いませんが。
あ、それから、逆上がりをする時はポケットを空にしておくことを推奨します。
2005.10.30


308
こないだディズニーランドへ行ったのだが、車で出発して産業道路に出たところでアヤが言った。

「じゃいあんのいないディズニーに行きたい」

あはは、アヤちゃん、ディズニーランドにジャイアンはいないよ、大丈夫だよ。
ジャイアンのいるディズニーランドなんて行けったって行けないよ。

そう言って安心させたのだが、「ファッションセンター島村」を過ぎた辺りでまた、

「じゃいあんのいないディズニーに行きたい」

なんだろう?
気になって訊いてみた。

「じゃいあんてどんなやつ?」

「めが あってぇ、はなが あってぇ、…」

該当者が山ほどそうだ。

「…じんちゅうがあってぇ、おくちが あってぇ…」

人中もあるか。そうかあるのか。

「おひげがあってぇ、おでこに けぇがあってぇ」

ひげ?
おでこに毛?
ひげにおでこに毛ひげにおでこに毛ひげにおでこに毛…

ひょっとして。

「アヤ、色は何色?」

「みずいろ」

ああアヤちゃん、そりゃジニーだな、アラジンの。
おでこに毛は無いけどな。

2005.10.28


307
合理的かつ科学的な教育を受けてきた私は、ひとが何と言おうと信じないものは信じない。

ネス湖のネッシー

ヒマラヤの雪男

屈斜路湖のクッシー

プエルトリコのチュパカブラ

ツチノコ

ヒバゴン

オトーより背が高いショウヘー

これらは皆、架空の生物である。
決して実在しない。
2005.10.24


306
ブラインドタッチ。

キーボードを見ずに画面だけ見ながら文字入力。

できません。

営業から離れて内勤になってからは、校正の直しが多い場合など、私が文字データだけを打ってオペレーターに渡すことが時たまあり、キーボードをたたく機会は以前よりかなり増えている。

でも。
いつまで経ってもブラインドタッチなんかできませんよ。
ええできませんとも。




できなくてけっこう。
そんなもんできなくても人間の価値に関係なし!

と、
思っていたが。

ふと気づいた。
なるほどキーボードを見ずに画面だけ見ながらの文字入力はできない。
でも、画面を見ずにキーボードだけ見ながらの文字入力はできる。
っていうか気づくとほとんど画面を見てなかったりする。

これはブラインドタッチと言わないのか?
言ってもいいんじゃないか。

「俺はキーボードをブラインドする」
「いいや、俺は画面をブラインドする」

双方正しい言い分ではないのか?

ちょっとやってみるね。

画面を見ずに入力できるっていっても漢字の変換は見ながらじゃなきゃできないはずじゃん。だからなsんだかんだいっても画面は見てるんだね。
でも無理矢理見ないで打ってるけど、どうなってんだろ。
そろそろ見てみようかな?
もうちょっと打ってみようかな?
ドキドキするな。
もういいかな?

編?変な文章になってる?
よおxし、見るぞぉ、せぇの!



う〜む。


大体いいんじゃないの?

仕事でこんな入力データ渡したら殺されるけどね。

2005.10.22


305
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!












ウソです。





誰も、何もキテません。
ちょっと使ってみたかっただけです。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!を。
すいません。見逃してください。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!を使ってひと儲け、とか考えてませんから。

このところ雨の日が続いてますね。
せっかく三連休だったのに、家の中にいる時間が長かったです。

あ、そうか。

秋の長雨か。
これが秋の長雨ってやつか。





……




秋の長雨、

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!


だからすいませんってば。

あ。
きょう、10月10日か。
親父の誕生日じゃん。


……

親父の誕生日、
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!


意外といろんなものがキテいた三連休の最終日であった。
2005.10.10


304
だから俺に道を訊かないでくれって言わなかったっけか?

 なんだか家を出るのが遅くなって、今朝はいつもより一本(5分)遅い電車に乗った。
これでも余裕で間に合うはずだったが、五つ目の駅あたりで腹部に圧迫感を覚え、その圧迫感は一駅ごとに腹部を下降してゆき、やがて「腹」とは言えないところにまで圧迫感を加えてきた。

危険を感じた私は、乗換駅の二つ前で途中下車して圧迫感を排出した。
簡単に言うと、

三ノ輪の駅でウンコした。

これでたぶん出勤時間にギリギリだ。

少しくらい遅れても、実際の業務に支障があるわけではないが、私の職場では毎朝簡単な朝礼をやっていて、私は毎朝そこでしゃべらなければならないので、遅れるとちょっとだけよくない目立ち方をしてしまうのだ。

しかし。この時間ならなんとかギリギリ間に合うはずだ。
私は銀座線神田駅から地上に上がり、会社へ向かった。

少し歩くと、前方に、手にした紙切れを見ながらくるくる方向を変えている、田舎のマーロン・ブランドみたいな雰囲気の外国人が見えてきた。
明らかに道に迷っている。

私の周りには他にたくさんの通勤途中の男女がいたのだが、マーロンは、8メートルほど離れた距離から私に狙いを定めた。
いやもうほんと。狙いを定められたのがはっきりわかった。

マーロンは紙切れを差し出しながらまっすぐ私に近づいてくる。
前にも書いたが、私の「道を訊かれやすい風貌」も、こうなると国際的だ。
そのうち、海外旅行してても地元の人間に道を訊かれるんじゃないかと思っちゃうくらいだ。

なんてことを考えているあいだにもマーロンは接近してくる。
日本一道を訊かれやすい日本一方向音痴の男にむかって。

「エクスキューズミー」

マーロンは、太い指で地図を指差しながら、「ここへ行きたいんだ」という意味のことを英語で言った。
私にもそれくらいの英語はわかる。
英語はわかるが、マーロンが行きたい「ここ」がわからない。残念ながら。

地図は、日本語とアルファベット、両方の表記があり、よく見ると神田駅が載っている。
「あそこが神田駅だから…」
と目を向けると、神田駅はわかってる、みたいなことを言い、地図の上のほうを指しながら、

「ヨスクニ?」

ヨスクニ?

ああ、靖国通りか。そうかそうか。

「ヤスクニドーリ、あっち」

私は、前回会得した、「だいたいあっち」作戦で、おおざっぱに方向を示した。
マーロンは「ヨスクニ」がわかれば何とかなると思ったらしく、礼を言って去っていった。
やれやれ。

おっと、早く会社に行かなきゃ。ほんとに微妙な時間になってる。

会社に着き、私が働いている6階でエレベーターを降りると、事務所の中から始業を知らせる時計のメロディーが聞こえてきた。

中に入ると、朝礼の体制にみんなが並び終わるところだった。
ギリギリギリギリセーフ。
私はまっすぐ私の朝礼ポジションに向かい、そのまましゃべり始めた。

そんなわけで。
会社のみなさん。
私が今朝話したことは、その場の思いつきの出まかせだったのです。スマン。
2005.10.4


303
最近、爪が伸びるのが妙に早い。
ふと気づくと爪の先っちょの、色が違う部分が増えている。

でも、伸びるのが早いと感じるのは実は錯覚で、気になるほど伸びるまで、爪の心配なんかしてられないほど気にすることがたくさんあるというのが真相だ。

「爪が伸びるのも気づかないほど忙しい」

という慣用句をすべての日本語圏の人々に向かって提案したい。

「爪が伸びたもご存じない」

でもいいぞ。

しかし。
暇だと爪が伸びていくのに気づくものだろうか?
すべての日本語圏の人々は。

「あ〜…………伸びてる伸びてる、俺の爪」

爪を眺めながらそんなことをつぶやいているのだろうか?
日本語圏の暇な人たちは。

「爪が伸びるのが気になってしょうがないほど暇」

というほうが事実に近いだろうか?
それならそれでもいいぞい。
2005.10.1


302
あ、いや、BB弾てのがあってさ。
公園に行くと落ちてるのね、パラパラパラパラ。
直径2.5ミリくらいの玉なんだけど、たいてい白かオレンジ色なんだけど、ちっちゃい子はそれを拾うわけよ、
「あ、びーびーだんだ」
とか言って。
ちっちゃい子がちっちゃい手で。

ショウヘーも拾ってたし、アヤが今その時期なのね。
BB弾を拾う時期。BB弾を拾う時期。人生でBB弾を拾う唯一の時期。

今日もアヤと公園に行ったら、アヤよりもう少し小さな子が一生懸命拾ってんの。BB弾を。

あー、BB弾ってみんな拾うんだなぁ、って見てたんだけど、そういえばBB弾を拾ってる子はよく見るけど、BB弾で遊んでる子って見たことないなーって気づいてちょっと不思議な気持ちになったね。

どこから来るの?BB弾。

昔使われたBB弾が今でも回収されずに放置されているんだろうか?
戦時中の不発弾のように。

本当は、あれはBB弾じゃなくて、何か別のものなんじゃないだろうか?
未知の生物の卵とか。

で、ある日いっせいに孵化するのね。
公園で。ちっちゃな子供たちの砂場の道具のカップの中で。ポケットの中で。ある日いっせいに。

ある日いっせいに孵化して、いっせいに蠢きだして、いっせいにどこかへ向かって移動を始めるの。誰にも気づかれないまま。

そしてその後、どこの公園でもBB弾はひとつも見つからないんだけど、誰もそのことを気にしないのね。ちっちゃい子供もその親も。

ところがひとつだけ、子供の見ている前で孵化したBB弾があって、その子はおもちゃのカプセルにその生物を入れて飼い始めるんだけど…
2005.9.19


301
今週は何やら懸案事項が多く、今日の3時くらいで限界を迎えた。
ひとりの人間にやれることには限界があんだよ。
今日は仕事を残してでも早く帰ろう。

と思っていたら、夕方、大きな大きなトラブル発生。
現在の立場からすれば私が解決しなければならない問題ではないのだが、行きがかり上、いろんなことをする。

平均的日本人よりかなり温厚な私が怒ってみせたりする。
午後3時まで悩んでいたことなど吹っ飛んでしまう。
ついでに他のいろんなことも吹っ飛んだような気がするが、今は考えないことにしよう。

いちおう今日のところは収めて、家路につく。
明日以降も尾を引きそうなトラブルだが、今日やれることはすべてやった。

結婚記念日なので、駅前の不二家でケーキを買う。
三角イチゴショート、モンブラン、生チョコホワイト、コロコロくまさん。
コロコロくまさんを発注するのは恥ずかしさもある反面、いいお父さん的充足感もある。

アヤはコロコロくまさん、ショウヘーはモンブラン、オカーが三角ショート、そして私は生チョコホワイト、ということになった。

コロコロくまさんのチョコの粉が、アヤの鼻の下に付いてヒゲのようだ。
それを指摘すると、

「え?ここ?」

と、舌でペロッとなめてにっこり笑った。

仕事のトラブルは明日も尾を引いて、朝から大騒ぎかもしれない。
でも。
それがどうした。

アヤの笑顔を見ていてそう思った。

小さな子供には不思議な力がある。
2005.9.15


300
私はあまり音楽を必要とする人間じゃなくて、ipod nanoに、ハードとしての魅力は感じても、1000曲も録音されてるとむしろ困ってしまう。

というわけで、この金色に輝くSONYのMDウォークマンで充分満足している。
といっても、これもショウヘーがMDプレイヤーを欲しいと言って、誕生日だかクリスマスだかに買ってあげて、それを使ってみて欲しくなって自分用に買ったくらいだから、まぁ、音楽との縁はそのくらい遠いわけだ。

でも。

ショウヘーがMDプレイヤーが欲しいと言い出したときは、自分がカセットテープレコーダーが欲しくてしょうがなくて、親に買ってもらった時のこと(やっぱり中学一年生か二年生だった)を思い出して、ちょっと、なんていうか、言葉にできない気持ちになった。

私が買ってもらったのはSONYのstudio1980というやつで、これでたくさんの音楽を聴いた。
甲斐バンド中島みゆき井上揚水RC浜田省吾PANTA&HAL誰がカバやねんロックンロールショウ。

決して音楽人間ではないが、このstudio1980は私をささえてくれた。
なにかでひどく傷ついたり、あんまり言いたかないけど失恋したりしたそんな時。

今夜。
2005年の9月11日。
テレビジョンの選挙速報を見ていて、あまりに気分が悪くなった私は、今の(43歳の)私の愛用の金色のウォークマンを使用した。

ザ・ブルーハーツの「青空」という曲は、テレビジョンの画面で見せられているものにあまりにぴったりで怖いくらいだった。
怖くてちょっと泣きたくなったが、歌を聴いていたら泣いてる場合じゃないと気づいた。

泣いてる場合じゃないのだ。
よくわかんないけどそう思う。

中学生のころから日本のロックを聴き続けた私はそう思う。
2005.9.11


299
内勤になってから私の人生いろいろ変わったが、そのひとつに、
「人に道を訊かれなくなった」
というのがある。

外を歩き回らないので当然といえば当然だが、以前は月に一回か二回くらいのペースでよく道を尋ねられた。

自分は道を尋ねやすい風貌をしているんだと思っていた。
ナビゲーターみたいな雰囲気を醸し出しているんだと思っていた。

しかし、前にも書いたとおり、私は極度の方向音痴で、かなりの確率で間違った道を教えてしまう。
ちょっと間違えた、どころか、まったく反対に教えてしまったことさえある。
あん時ゃごめんな、若い娘さん。

私が内勤に異動になったのも、そういった被害者を無くすために超越的な力がはたらいたんじゃないかと思ってしまうくらいだ。

そんな私であったが。
ついにきのう、帰りがけに同い年くらいのサラリーマンに道を訊かれた。
内勤になってから初、第一号のお客さん。いらっしゃいませ。ヨキミセサカエル。

訊かれたのはある小さな居酒屋で、何年か前に一度行ったことがある程度の店なので、だいたいの方向しかわからない。
もちろん、そんなところ正確に教えられるわけがない。
だので私は、

「はっきりとはわかんないですけど、だいたいあっちの方です」
と言って、両手のひらをその方向に押し出すようなジェスチャーをした。
すると男は、
「そうですねそうですねありがとうございます」
と言いながら私が示した方向に駆けていった。

そうか。
これでいいんだ。
人は自分にできることをすればいいんだ。
方向音痴なのに無理して詳しく教えようとするからかえって迷惑かけちゃうんだ。
方向音痴は方向音痴らしく、「だいたい」のレベルで道を教えればいいんだ。
カニは自分の甲羅に合わせて穴を掘ればいいんだ。

すがすがしい気持ちで再び家路につく。
すがすがしい気持ちで再び家路につく。

しばらく歩いてから、ある交差点でふと左を見ると、あれ?
あの看板…
さっきの男に訊かれたのと同じ名前の居酒屋だ。
チェーン店か?違うな。

不思議だ。
なぜだろう?
なぜこうなってしまうのだろう?





頼むからもう誰も私に道を訊かないでくれ。

2005.9.10



298
お気づきでしょうか?
日に日に淋しくなってゆく『リンクの書』。
閉山に追い込まれた炭鉱の町のようです。
行ったことないけど。

そんなわけで、今月は「リンク強化月間」とさせていただきます。
あんなリンク、こんなリンク、「良きリンク」を求める旅に出ます。
旅に出るけど留守にはしません。それは不思議だ。
しかし、辛く厳しい旅になることでしょう。

あるところではリンクを断られ、あるところでは門前払い、役立たずとののしられ、一日二合の米と少しの野菜を食べる。それじゃおなかがすいちゃうよ。

それでも旅は続くのさ。

というわけで、月末にはまぶしく輝くシャイニングリンクを公開することをお約束します。

2005.9.8



297
トイザ“ら”ス(書きにきーなー)に、車のチャイルドシートを買いに行く。
アヤが今使ってるのはショウヘーのお下がりで、赤ちゃんから使える、そのものが単独の“シート”になっているごついもので、少し大きくなると、もう少し簡易な、背もたれが無くて、お尻のところと肘掛けだけのシートを3点式のシートベルトで固定する方式のものを使えるようになる。
って、現物を知らない人にはこの文章じゃ、よくわからないだろうけどさ。

で、トイザ“ら”ス(2回目以降はコピペなので楽チン。ビバデジタル)には現物を試せる車のシート(だけ)があるのね。
もちろん試してみる。

お試し用の車のシートにチャイルドシートを載せて、アヤを乗せて3点シートベルトを、チャイルドシートの肘掛けに通して固定してみる。
文章で書くとややこしいが、簡単な作業。
今のごついチャイルドシートを、私が腰を痛くしながら設置したのと比べると簡単すぎて拍子抜けだ。

「これでいいんだねぇ」

なんてオカーと話しながらアヤを解放していると、30代後半くらいの男の店員が寄ってきて見ている。

オカー「これはここに載せてシートベルトで留めるだけでいいんですね?」
店員 「はい。そうです」(ニコニコ)

オカー「ベルトはこことここを通せばいいんですよね?」
店員 「はい。そうです」(ニコニコ)

オカー「それだけで大丈夫なんですねぇ」
店員 「………」(ニコニコ)

オカー「それだけでずれたりしないんですねぇ」
店員 「………」(ニコニコ)




そこで沈黙すんなよ。心配になるだろ。




買ったけどさ。

2005.9.4



296
朝食を食べながら足元に新聞を広げる。

 ● スペシャルドラマ「積み木くずし真相」

なんか不幸な家族みたいだな。かわいそうに。
見ないけど。

「おとうさん ごはんたべないと おっきくなれないよ」
アヤが、いつもオカーに言われていることを私に言う。
「はぁい」

 ● 米ハリケーン:ニューオーリンズ市水没で壊滅状態。治安悪化。

水没って、すごいことになってるなぁ。ブッシュはボンクラだからもっとひどいことになりそうだな。気の毒に。

「おとうさん ごはんたべないと おっきくなれないよ」
「はぁい」

 ● 自殺サイトで知り合った中学生を殺した男逮捕

3人も殺してるのか。ひでぇやつだなぁ。

「おとうさん ごはんたべないと ちっちゃくなっちゃうよ」




世界には悲惨があふれている。
しかし。
笑いもある。

2005.9.3


295
もう何度も書いているのですっかりおなじみだと思うが、休日はアヤと一緒にお風呂に入る。
風呂からあがって体を拭いていると、アヤが触りながら訊いてきた。

「おとうさん これなぁに?」

一瞬、「何て言おうかなー」と思ったが、夏の風呂あがりは人の思考力を奪うもので、めんどくさいのでそのまま答えた。

「キンタマ」







「え? きんたぱん? これ きんたぱん?」



そんなわけで。
今日から「キンタマ」は「きんたぱん」に改名である。
アヤちゃんが言うんだからそうなのだ。

「男なんだろ!きんたぱんぶら下げてんだろ!」

とか、気の強い彼女に言われたりするわけである。

♪たんたんたぬきのきんた〜ぱん〜

「たぬきのきんたパン」
ヤマザキパンか第一パンに発売してもらいたいパンである。
食いたかないけど。
2005.8.27


294
日曜日の夕方。
まだまだクソ暑い、家の前の道路で、アヤと遊ぶ。

もうホント。アスファルトというのは人間に対して悪意を持っているに違いないと思うくらい暑苦しい。
私より地面に近くて、アヤもさぞ暑かろうと思うのだが、あまり感じていないように元気よく遊ぶ。

ボール、シャボン玉、かけっこ。
子供ってなぜ走るだけであんなに楽しそうなんだろ。
家の前を行ったり来たりするだけで楽しそうだ。
暑いのに。

しかし。
父と娘は、ただのかけっこより楽しいかけっこを発明した。

「ネコのように走れ」
「サルのように走れ」
「ゾウのように走れ」

私が言うたび腕の形を変えて走るアヤ。その動物の特徴は全然捉えていなくて、ただ腕を変な風にねじってるだけだが。

「スズメのように走れ」
「ニワトリのように走れ」
「セミのように走れ」

セミのように走りながらアヤが言った。

「おとうさんは もうすぐ そらをとべるでしょ? せみみたいに せなかから はねがはえたら」

無理です。
2005.8.22


293
ああ。

ついに。

ダース・ベーダーになっちゃったよ。アナキンが。
あんなにかわいいぼうやだったのに。

ということで。
観てきました。スターウォーズ・エピソード3。
仕事帰りに。

奴隷のように働いてるとか愚痴ってるくせに映画は観ちゃうこの不思議。

思えばスターウォーズとは長いつき合いであった。
最初のを観たのが中学生のころだから、今のショウヘーと同じ年頃。もう30年くらい前のことだ。
えーっ!
三十年っ?!

書いてみてびっくりだ。

ショウヘーと同じ年頃といえばこのシリーズ、全部観終わってみれば、父と息子の物語でもあるということに気づく。
父ができなかったことを息子がなしとげるというのがストーリーの柱のひとつになっている。

というわけで、父である私と、息子であるショウヘーの姿をそこに重ね合わさざるを得ない。

父である私…。

焼かれて黒焦げになっちゃうアナキン。
日焼けして皮がむけてるオトー。
見事に重ね合ってる。

まぁ映画は、ひでーことした父親がひでー目に遭うって内容なんだけどね。

そりゃそうと、グリーバス将軍を見てて、
「このおもちゃ欲しー」
って思ってたんだけど、後で考えたら、あれってレゴのバイオニクルにそっくりなんだよね。
2005.8.19


292
最近アヤとお風呂にはいると、

「アヤがじぶんで おとうさんをあらってあげる」

と言われる。
日本語がちょっとおかしいが、うれしいので洗ってもらう。

そのうち、洗ってくれるどころか一緒にお風呂に入ってくれなくなるだろう。
とても貴重なこの時期。

「この時期を逃したら、次に洗ってもらえるのは寝たきりになった時かな…」

などと考えていたら、

「おとうさん てを こっちにむけなきゃ あらえないでしょ」

としかられた。

「はいはい」と、言われた方に腕を向ける。

今日も暑かったなー。

ふと思いつき、腋の下をアヤに向けて、

「ここも洗って」

と言うと、

「やだ」(真顔)


なぜだ。
毛がぼーぼーだからか?

すね毛は洗ってくれたじゃーん。

2005.8.17


291
ささやかな夏休みも終わりに近づいてきた。

今年は二泊三日で鴨川の先の太海というところへ海水浴に行った。
私は海水浴が大好きだ。

青い空。
白い雲。
潮の香り。
家族連れが集まるところには必ずいる、喧嘩している夫婦。

アヤは海が楽しくてしょうがないようで、私やショウヘーでも足が着かないところで
「アヤも泳ぐ」
と、浮き輪から抜け出そうとして、止めるのに苦労した。

海水が顔にかかって飲み込んでも、
「海の水はすっぱい」
と笑いながら言っていた。

シーワールドでは、午後、イルカのショーを見ているときには眠くなって、ふにゃふにゃした拍手をしていた。

それでもそのあとおみやげを買うころには目が覚めて、
「イルカとアメを買って」
と言うので、ぬいぐるみのイルカを買ってあげた。

日焼けしないように気をつけていたオトー家四人であったが、やはりそうもいかなくて、今日になっておでこや鼻の頭がペリペリしてきた。

アヤは皮はむけていないが、「こげぱん」みたいな色合いになっている。

ささやかな夏休みがささやかに終わろうとしているが、

楽しかったな。
ホントに。
2005.8.14


290
私の仕事のひとつに、「下版チェック」というのがある。
ある仕事が得意先から戻ってきて、「この訂正を直したら印刷していいよー。訂正の確認はそっちでしてねー(専門用語で「責了」という)」となった時に、訂正が正しくされたか確認する作業だ。

たいていはきれいに直っているが、時々、「ありゃっ」ということがあるので手が抜けない。
先方の間違いを(偶然)見つけることもある。

今日も今日とて「下阪チェック」の校正がやってきた。
ちょっと忙しかったので、他の人にやってもらおうかと思ったが、その人も別の仕事の途中だったので、2分ほど考えた末、私がやることにした。

赤字はほとんど無い(だから「責了」なのだが、そうでない仕事も多くて殺意を覚えることもしばしば、なんて話はまた今度)。
赤字が無い頁も、何事か起こってることがごくまれにあるので、全頁チャッチャッチャっと見ていく。

その間にもいろんなやつらがいろんなことを言ってくるので、はかどらないったらない。
やめりゃよかったなー。
頼めばよかったなー。

モチベーション右肩下がりで作業を続けていたが、ゆっくりとではあるが作業は進み、ようやく終わりに近づいたころ、ひとつの訂正赤字を見つけた。
その訂正とは。

× サンダーパードのベネロープ

   
○ サンダーバードのペネロープ

ほんのちょっと笑った。

地味な作業を地味に続けていると、地味な楽しさを拾うことがある。
地味な人生を地味に生きていると、時々地味に笑える。

だからどうってことでもないけどさ。
2005.8.9


289
はっ!

もう夏だ。
気づいたら夏であった。
あたり一面夏であった。

朝の通勤電車が心もち空いてる。
見上げればでかい雲がもくもくしてる。
夜なのにセミが鳴いてる。
アヤの頭が汗臭い。

夏である。

まぁ、それはそれとして。
夏は夏として。
秋は秋として。

冬は冬なりの。

あ、そういう話じゃなくて。

一年余り連載をさせていただいた『インスタントテレビ』が、現在公開中の8月号でおしまいとなります。
私担当の『爆ぜるパパパヤ』も、最終回を迎えました。
毎月ひとつのお話を仕上げるのはたいへんでしたが、オトーラの書の企画では考えつかなかったであろう内容のものが書けて、私は大変満足しています。
全力を出し切りました。
読んでくださっていたみなさまありがとうございました。

お話を仕上げるのはたいへんと言いましたが、パパパヤ用に考えていたネタは山ほどありますので、それは追々形にしたいと思います。
それ以外にも大ネタがひとつあって、必ず作ります。

時間は無い。

でもやるんだよ。
2005.8.5


288
誰に似たんだかアヤはウルトラマンが好きである。
土曜日の朝に放送している「ウルトラマンマックス」は、アヤが見たがるので、毎週3回くらいづつ見ている。

どういうわけだかアヤは「マジレンジャー」も好きである。
時々変身して襲いかかってくる。

何の因果か、アヤは「仮面ライダー響鬼」も好きである。
テレビを見ていても、「ヒビチさん、オドロキさん」と、うれしそうである。

ちょっと気になったので訊いてみた。

「アヤ、ウルトラマンとマジレンジャーとどっちが好き?」
「ウルトラマン」

「じゃあ、ウルトラマンとヒビキはどっちが好き?」
「ヒビチ」

「じゃーあー、ヒビキとマジレンジャーはどっちが好き?」
「ヒビチ」

「じゃあじゃあ、ヒビキとお父さんはどっちが好き?」
「おとうさん」(にっこり)





な。
2005.7.27


287
久しぶりに床屋へ行った。
髪型なんぞにこだわりはまったくないので、2ヶ月に1回か、伸び具合によっては3ヶ月に1回くらいしか床屋へ行かない。

理容師も、人によってはいろいろ訊いてくるやつがいるが、こっちは、
「短かきゃいい」
を基本姿勢としているので、「長さ」意外は「はいはい」と、むこうの言うとおりにさせている。

「もみ上げは普通でよろしいですか?」

毎回訊かれるが、「普通って何だよ。普通じゃないってどんなだよ?」と思いながらも、質疑応答するのも面倒なので、いつも「はい」と答えている。

だいたい、「髪型」がどうでもいいのに、その構成要素のひとつでしかない「もみ上げ」なんぞ、さらに「どうでもいい」に決まってるじゃんか。

もみ上げなんか、ありゃいいよ。

と、思っていたら、今回は、

「もみ上げは『自然』でよろしいですか?」

だと。

自然!
自然なもみ上げ!

じゃあ。
じゃあ。
不自然なもみ上げってどんなんだ?

想像してたらおかしくなってきた。
くるーんとかしてるんだろうか?不自然なもみあげ。
しゃかかかっとかしてるんだろうか?不自然なもみ上げ。
この床屋から出てくる客がことごとく「不自然なもみ上げ」だったらと想像して、吹き出しそうになった。
出さなかったが。

「もみ上げ」について必要以上に考えてしまう今日、7月24日。43回目のオトーの誕生日。
(「天声人語」風に締めてみた)
2005.7.24


286
ある日のオトー家の朝の食卓。
プレーンヨーグルトにバナナの輪切りを入れたデザート。

アヤが言う。
「おとうさん まぜて たべると おいしいよ。まぜて たべな」
「はーい」

言われたとおり、バナナとヨーグルトを程よくかき混ぜて食べると、言われたとおりおいしい。

私は出勤のしたくのため席を立ち、あんなことこんなことやってから戻ってくると、アヤの前にはヨーグルトだけが残っているデザートの器。

アヤが淋しげな顔でつぶやく。
「アヤも まぜて たべればよかった」

アヤはバナナが大好きだ。
そのため時々淋しい気持ちを味わう。
2005.7.16


285
ありゃま。
もう7月だわ。
もうすぐ43歳です。

43歳かぁ〜。
何の感慨もわかない数字ではあるが。
ああ、なんだかいろんな人より長生きしてるんだなぁ、と思うときがある。
ブルース・リーとか。

ふと思いついてちょっと調べてみた。
松田優作が亡くなった年齢を知ってちょっとびっくり。
ああそうなんだ。
そういう年齢だったんだ。

年齢の数字には何の感慨も無いが。
だがしかし。

生きた積み重ねではある。
2005.7.3



284
仕事が忙しいのはまぁいいとして。
よかないけどまぁまぁいいとして。

ちょっと淋しいのは、話題のアヤの新曲が聴けないことだ。
トイレに座って歌っていたというアヤの新曲が聴けないことだ。

オカーが代わりに歌ってくれた。

♪じゃ〜ぱねっとー たたた〜 じゃ〜ぱねっとー たたた〜♪
2005.6.24



283
6月いっぴから管理課に異動になったと思っていたのは間違いで、実は奴隷として売られてしまったようだ。

っつーくらい働いてるんですけど。
なんて言いながらこんな文章を書いている不思議。

でも忙しい時はなんだかわかんないくらい忙しい。
人間には「容量」というものがあると思い知らされたこの22日間であった。

容量を越えると、人と話していても、相手が何言ってんだかわかんなくなるんだよね。
きのうの夜がそんな感じだった。
音声は入ってくるんだけど、「意味」を組み立てられない。
人間ってこうやって「心の病気」になるのかなぁーと、ちょっと怖くなった。

寝て起きたら元気になってたけど。
起きても同じ朝が来たらどうしよう。

「オトーくんのノイローゼ日記」って漫画を描こうかと思ってるんだけど、どうでしょう?
なんかこう、少しづつおかしくなってくの。

なんて言ってるうちは大丈夫か。

あ、そうだ。今日はサンダルのまま帰りそうになった。
やっぱり危ないか。
2005.6.23



282
一日たてば一日分、内勤人間になってゆく私。
内勤人間の必需品「サンダル」も購入して、会社では一日サンダルマンだ。
帰宅する時にサンダルのまま帰ってしまわないかというのが目下の一番の心配事である。

そしてまた。
きょうは「指サック」を手に入れた。
仕事柄、「原稿」とか、「校正」をめくることが多いわが社の内勤人間にとって、これもまた必須アイテムと言えよう。

小さなイボイボが付いた緑色ゴムの指サックを親指にはめて、さっそく「めくって」みる。

ペラッ

おっ。

ペラッペラッ

おおっ。

ペラッペラッペラッ

おおうおおう。

ペラッペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ

めくれるめくれる。
すごいめくり力だぞ指サック。

通常の裸指(らゆび)のめくり力が約30MP(メクリパワー)とすると、指サック装着時は160から180MPに達するであろうか。

何枚でもめくれそうである。
どこまでもめくれそうである。
あの山越えて海越えて、隣の国までめくれそうである。

ペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラペラ

お?

あれ?

あ、あ、あ。

ああ!!

血が止まるよっ!!

関節んとこがかゆいよ!

私は緑のゴムを投げ捨てた。

半分裏返った指サックは机のすみにコロンところがった。

血が止まるくらいなら

30MPでいいや。

ペラン
ペランペランペラン

ペランペラン
ペラン

ペランペラン

私は、30MPで原稿をめくり続けた。

ふと思い立って親指を鼻に近づける。



ゴムくせ。

内勤人間と外勤人間を区別するのは親指のにおいである。
2005.6.14



281
そんなわけで。
新ホームページ作成ソフトでヒビボページを作ってみました。
見た目はほほ同じですが、作り方がちょっと違ってます。
ホボオナジヒビボ。
意識的に変えたところもありますが、同じようにできなかったところもあります。
ってほど部品があるわけじゃありませんが。

ちなみに新作成ソフトというのは「ホームページビルダーV9」というやつです。
「永遠の初心者」の私にはちょうど良さそうに思えたので導入しましたが、なんだか余計な機能がいっぱいあります。
余計な機能だけでまとめたページを作ってみたいという意欲がもくもく湧いてくるくらい余計な機能がいっぱいあります。

フレームやフォームも簡単に作れます。
アンケートやテストのページも作れます。
お茶も沸かしてございます。
おいしいお菓子もございます。

素材集も豊富で、椅子に座ったおじさんがくるっとまわって「よっ」と手を上げるgifアニメとかあります。
うまく組み合わせれば面白いストーリーが作れそうです。

会社の忙しさがひと段落ついたらチャレンジしてみようかな。

ひと段落つくのか会社の仕事。
ひと段落つけ、会社の仕事。
2005.6.11