ロボ、むき出しにされる。

ヤイ、ロボコウ、ソンナトコロデナニヤッテンダ。

西暦2032年6月27日 03:01:15 PM
「ロボコウ…?私は…ロボ公というのがロボットと言う意味なら…」
「四の五のぬかしてねぇで、そいつを元に戻しやがれ、このドロボウネコめ。」
「ドロボウ…ネコ?」

「よさないかセリザワ。」

「先生、このおかしなロボ公がうちのお宝をネコババしようとしてたんでさぁ。」
「お前だってロボットじゃないか。大体、どうしてお前はそんなおかしな口のききかたをするんだい?」
「フランクの旦那が教えてくれたンでさぁ」
「あぁフランク…、後で調整してあげるからお前は仕事を続けなさい。」
「ガッテンダ−」
「はぁ〜…」

03:02:05 PM
ロボ、「先生」と出会う。
「やぁ、君、悪かったね。セリザワは私が組み立てたんだが、なにしろ寄せ集めのパーツだけでできているからね。
おまけにフランクがおもちゃにしているものだから。
フランクというのは私の友人で、ここの所有者なんだがね。」

「悪気はないんだ。というより、そんなに複雑な思考はできないんだ。あ、セリザワの話だよ。」
「私は理解しました。」
「理解か…。君はコスゲデンキ製のISA-2000かな?」
「私はコスゲデンキ製です。私はISA-2000ではありません。」
「ほう。君は自分の製品名を知っているのかな?」
「私はそれを知っています。」
「……」「……」
「…教えて…くれるかな。」
「私の製品名はISA-P3000です。」
「P3000…まだ発表されてないモデルだな。PはプロトタイプのPかな?」
「違います」
「…教えてくれるかな。」
「PはパーフェクトのPです」

03:04:35 PM
ロボ、「先生」とともにスクラップ場内を移動開始。

03:09:36 PM
スクラップに埋もれるように建っている「先生」の住居に到着。
「まぁこんなところだけれど、僕の住居兼研究所といったところなんだ。散らかってるけど奥に入って、君を少し調べさせてもらえるかな。」
「私は奥に入ります。私は私を調べる事を了承します。」

03:28:02 PM
「先生」の要請で左側頭部のフェイスプレートをはずす。
「ISA-2000は、廃棄されていたのを分解したことがある。なるほど、2000とはかなり構造が違うようだね。このスロットは何だろう?」
「感情チップ『YOROKOBIバージョン2』です。」
「感情…機能を説明してもらえるかな。」
「人間の感情を喜怒哀楽の四つに分け、それぞれを16のレベルで感情として認識します。」
「すると4掛ける16で64通りの感情があるわけだ」
「違います。」

「常に単一の感情とは限りませんから、それぞれの感情がそれぞれのレベルで共存するとすれば、計算上は16の16乗、つまり、65536通りの感情を認識できる事になります。」
「なるほど。それじゃあ、さっきセリザワが失礼な事を言った時にはだいぶ不愉快だったんじゃないかい?」
「いいえ。」
「なぜ?」
「どのような状況でどの感情を認識するかは学習によって記憶されます。私にはまだ、状況と感情の関係がわかりません。」
「すると、実際にはこのチップが機能したことはまだないんだ。」
「いいえ。一度だけテストで作動させました」
「ほう。どんな感情でテストしたんだい?」
「恋愛感情でテストされました」

03:30:00 PM
突然ドアが開き、1人の中年の男が入って来た。
「せんせーい。オハヨウのコンバンハなのだ。」
「フラーンク。またおかしなかっこうをして。今日は何のコスプレだい?」

「今日は、ニッポンのアニメ、ジーニアス・バッカボンのダディなのだ。と、おおっ!先生、なぜ先生の家にキッカイダーがいるのだ?」

03:30:16 PM
ロボ、フランクと出会う。

以下次号

第4話 ロボ、語り合う。につづく

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