さすらいロボ ヤスジロー  2001.2.14
第4話 ロボ、語り合う。

青空 西暦2032年6月29日 02:12:08 PM
 「よぉし、キッカイダー、デビルセリザワにキックだ−!」
「私の名前はヤスジローです」
「ヤスジローはチェンジしてキッカイダーになるのだ」
「キッカイダー!今日がきさまの命日だぁっ!とー!」

ロボと先生 09:24:52 PM
「昼間はフランクたちと何をしていたんだい?」
「即興演劇です」
「そっきょ…」
「フランクは『キッカイダーごっこ』と呼んでいました」
「あーあ。
そういう遊びをしている時に、演じている役の感情を認識するようなことはないのかな?」
「そのような場面はありませんでした。アクションの指示は受けましたが、感情面の指示はありませんでした。ただ、フランクと遊んでいる時、感情チップに、どの感情にも偏らない、極微弱な電流が流れることがありました。」
「ほーぉ。どんな場面で?」
「法則性は認められませんでした」
「それは楽しんでいたって事じゃないかな」
「あれを楽しみと認識します」
「あ、いや、…まいいか」
「君は経験を重ねて徐々に感情を身に着けていくんだろうなぁ。
でも、それによって行動が左右されるような事もあるんだろうか?例えば…怒って…人を殴ってしまうというような」
「憎しみ、怒り、ねたみ、など、マイナスの感情を行動の動機にしないよう、プロテクトされています。」
「…そうか。
…そういう機能が私にも付いていれば良かったのに」
「…先生、
頭でも痛いのですか?」
「あ、いや。なぜマイナスの感情があるんだろうね」
「感情チップの開発の初期段階で、マイナスの感情を排除する試みがなされましたが、失敗したと聞きました」
「どうなったんだろう?」
「具体的には知らされていませんが、私の教育係は『暴走した』という表現を使っていました」
「暴走…」
「君のような高度なロボットがISA-2000のように量産されたら世の中はどんな風になっていくんだろうな」
「ISA-P3000は量産されません」

同時刻
コスゲデンキ、アメリカ支社。支社長室。
「社長は半狂乱で周りに当り散らしてるとさ」
「申し訳ありません。」
「日本にはイシローを送る。お前が同行して会長に会え。」
「はい」
「イシローのことが無ければお前を射殺してるところだ」
「…」
「本気だぞ。我々が見つける前にどこかの企業の手に渡ってみろ。コスゲはおしまいだ。」
「しかし、P3000の存在は…」
「バカめ。このビルの中に何人の産業スパイがいると思ってるんだ。もういい。さがれ」
「はい。失礼します」
支社長室を退出するジェニファー。 

第5話 ロボ、発見される。に続く


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