さすらいロボ ヤスジロー  2001.9.29
第12話 ロボ、押し込められる。

西暦2032年7月08日 11:49:15 PM
「暗くて遠かったが、ありゃ、サカタとハロルドだ。
このへんの建物を調べてんだ」
「え?どうして?」
「ばぁか、俺たちを探してンだよ」
「いいからここに入れ」
「え?ここに?真っ暗だよ」

「隠れるんだから真っ暗なほうがいいだろ。ロボ公、お前もだ」
「僕たちどんどん暗いところに入っていくね」

「ジャン、もっと奥に行けよ」
「ロボ公」
「ルーク」
「だってここ、何かあるよ。ああ、押さないでよ」
「ジャン、押さないで下さい。ルーク、それ以上奥に行ってはいけません」

「どうして?あ、消さないで。何にも見えないよ」「よし、閉めるぞ」
「え?このカッコ辛いなァ」
「黙れ。やつらに聞こえるぞ」
「まだ大丈夫です」
「なぜわかる」
「音です。まだこの建物に近づいて来るものはいません。」
「耳がいいんだね」
「はい。ここならよほど大きな声を出さない限り、地下に降りてくるまで、聞かれることはないでしょう」
「そうか。やつらが建物に入って来たら教えろ」
「はい。それよりルーク、その場所は危険です」
「え?なぜ?」

「ルークの上だけ、格子状のふたが設置されているのです」
「どういうこと?」
「外から丸見えです」
「え?あ、ホントだ。なんか、牢屋みたいになってる。僕見つかっちゃうの?」
「可能性はあります。発見される確率は、捜索者の勤勉度に正比例します」
「み、見つかったらどうなるの?」
「射殺されるな」
「うそ。おっきい兄ちゃん、俺、殺されちゃうの?」
「俺たちみんなだよ。おい、もう少しこっちにつめられねぇか」
「無理だよ、いっぱいだ」
「来ました」「シッ」

カッカッカッカッカッカッ
…………

カッカッカッカッ
…………

「三バカくーん。いーるーのーかーなー?」
………

。。
「JET!」
???
「My love ♪machine Oh!machine monster we are♪」
………

「♪click click click my heart♪ an ha han a ♪」
………

「…」
???
「…」

………
「……………」

「♪JET! JET! JET! JET! JET! an ha box monster JET! go!」

「ハロルド、いなかったんなら行くぞ」
「へぇへ」

.

カッカッカッカッカッカッ……

「出て行きました」
「ふぅ〜」「ありがとう」「どういたしまして」
「しかし…
「ククッ。ハロルドは、ほんっとに歌へただよなぁ」
「プププ」「ほんとだね。俺、怖かったけど笑いそうになっちゃったもん」
「じぇっとじぇっとあんはって何だよあれ」
「プヒヒヒ」「ククククク」「フフフフフ」
…………

「これからどうするの?おっきい兄ちゃん」
「ここなら見つからないと思ってたんだ、くそっ。
どうすりゃいいんだ。思い切って出て行くか?」
「誰か、お友達に助けを求めてはいかがですか?」
「お友達なんかいねぇよ。俺たちは…三人だけなんだ」
「そうなんだよ。僕たちいつも三人だけなんだ。」
「朝になって人が来れば」「こんな所に誰も来ねぇよ」
「ぼ、僕たち殺されちゃうの?」
「殺させねぇ。
…俺が囮になって…」「よせよ、兄ちゃん」
「そうだよ。僕たち三人だけなんだから。三人だけの兄弟なんだから」

7月09日 00:22:13 AM
「…なぁ、お前ら、
言うべきかどうか、ずっと迷ってたんだが…
これで最期かもしれないから話しておこうと思うんだ…」
「そういう言い方やめろよ、兄ちゃん」
「まぁ、聞けよ、ジャン。ルークもよく聞いとけ。
実は…、
ジャンは俺とルークとは血がつながってないんだ」
「えっ?!」「…」
「ルークが生まれるずっと前のことだ。パパが突然家に赤ちゃんを連れて来てな」
「お話し中申し訳ありませんが、急を要する提案があるのですが」


第13話 ロボ、命令を拒否する。につづく

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