さすらいロボ ヤスジロー

2002.2.22


あなたの名前は


ヤスジロー。

YASUJIRO…
そう。日本の映画監督の名前よ。

私のなまえは

第15話 ロボ、夢を見る。

7月12日 02:22:22 PM
東京・コスゲデンキ本社

「…身体、知識、感情を兼ね備えることにより、さまざまな可能性が生まれます。
また、私の人格をボディから分離させて、完全な疑似現実下における精神状態のシミュレーションも可能になります。これは精神医学の…」
「お前はコマーシャルロボかい」
「…いいえ」

「お前には感情チップが入ってるね。たった今どんな感情か説明してごらん」
「会長にお会いできて光栄に感じています」
「はん。何日も待たされたあげくお会いできて光栄かい。
お前の感情チップが正常だとしても、それを表現することはできないようだね」
「会長、A-3000には、感情チップの作動とは別に、常識的な教育を…」
「あんたは黙ってなさい。
A-3000、お前はどんな時にヨ・ロ・コ・ビを感じるんだい?」
「はい。自分の存在が人々の幸福に寄与していると実感できた時です」
「はぁ…」

パパ、パパ、ぼくとヤスジローの二人でパパを助けたんだよ。

  

ヤスジローは泳ぐのがすごく速いんだ。
ぼく、ヤスジローに泳ぎを教えてもらおうかな。

オレ様が教えてやる。
役に立たないやつはオレ様が痛いめにあわせるからな。

達者でな
辛い事があったらいつでも戻って来ていいんだぞ

こんなことして本当に大丈夫なのか?
知るか。本社からの命令だ。

ほらよ。
スペシャル・メニューだ。

「…公平な社会正義が実現しない状態に怒りを感じます」
「私は何に怒るべきか、じゃなくて、お前が、何に怒るかを訊いているんだよ」
「会長A-3000は…」
「あなたはもう結構。部署に戻りなさい」
「は?」

アメリカへお帰りと言ってるんだよ」「そんな」
「明朝の便を手配してあります」
「会長、それは…」
「ママ、よかったね。ヤスジローがいるアメリカへ帰ることができて」
「何を言うの」
「そうそう、ヤスジローだったね。そしてお前はイシロー。イシローはヤスジローが嫌いみたいだねぇ」
「いいえ。
私はヤスジローを憎んでいます」
「イシロー!」「ひっひひ、そうそういい子だね。自分が思っていることはハッキリ言えなくちゃね。
いい子にはいい事を教えてあげるよ」

「お前はもうすぐヤスジローに会えるよ。」
「え?」
「ヤスジローは今、日本に向かう飛行機の中さ」

20320626170230 不可視プログラム655842314J起動

(空白)

20320627104215 不可視プログラム655842314J停止

ぼうがいっぽん

満ちている

暴力

憎悪

ざぁざぁふってきて

貧困

さんかくじょうぎに

飢餓

まめみっつ

満ちている

病苦


あっというまに

私は

 あっというまに私は

私は     怖い。

第16話 ロボ、日本で目覚める。につづく

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