さすらいロボ ヤスジロー 

2003.6.20

第26話 ロボ、癒せぬ傷を負う。


7月14日 08:13:13 PM

「警部!建築中のビルで侵入警報の発報があったと、警備会社からの通報がありました」
「場所は?」
「それがすぐそこなんですよ。あの道を入れば見えます」
「行くか」
「はい」



「問題のロボットとは限らんが…こいつを」
「あ!それ、ISHIBARAの強化ライフルじゃないですか?」
「詳しいな。ISHIBARAのSEIATU-10CGだ」
「そうですよねぇ。すげー。どうしたんすか?これ」
「ふふん。治安にちょっと知り合いがいてな」
「そうなんすかぁ。すげー」
「ふふん。君も持っていくか?」
「え?まだあるんすか?あ、こんなに。いいんすか?うれしー。撃ってもいいんですよね」
「ロボットだけにしとけよ」
「うわぁ、重っ」

ハカイスル

ハカイスル

ハカイスル


バチッ!



ガゴ

ガガ

ガゴ





ガガ











ガガ

ガゴ

ガガ


「うあっ!」

バリバリバリバリバリッ!

これは…

ガリガリガリガリッ!



「ああ、ああ」
私の
私の心が

あれが
私の
心を

あれが
あれが


私の

心を

守らなければ
私の











「あのあたりは今大変です。狂ったロボットが暴れています。警官がたくさんいます」
「狂った、ロボット…」
「はい。警官が何人か重傷で、一般市民も襲われたらしいです」
「…」

「狂ったロボットに襲われて怪我をした人がいます」
「あ、ええ。そうらしいわね」
「私の英語、わかりにくいですか?」
「え?いえ、ちゃんと理解できるわ」
「よかった。私は子供のころから英語の勉強を続けてきました。英会話の学校にも行きました。将来仕事を選ぶ時に有利だと私の両親が考えたのです。でも、大人になった時には日本は変わっていました。英会話の能力が必要な職業は一部の人たちに独占されるようになっていました。外国との間で生まれる利益とともに。私のような普通の家庭の人間はそこに入りこむことはとても困難になっていました」
「そうなの」




「だからあなたのようなお客さんを乗せるととてもうれしいのです」
「そう。それは私もうれしいわ」
「ありがとうございます。風に合わせて帆を張るべし、ですよね」
「そ、そうね」

「警部、このビルです。
あ、警備会社の人、先に着いたんだ。入っちゃったのかなぁ。危ないですよねぇ」
「なぜわかるんだ?」
「ほら、これ、警備会社の車ですよ。ガード君のマーク」
「ガードくん?」
「テレビでやってるじゃないですか。
♪す、す、住まいを守るぞガード君
  鼻の穴ぁがぁ鍵の穴ぁぁだぞぉ〜♪
って。知りません?」
「知らん」

「で?俺たちはこのビルのどこへ行けばいいんだ?」
「え?」

「……ですよねぇ…」


「主任、今何階か見てもらっていいですか?」
「え?えーと?」
「『現在位置』にカーソルを合わせてエンターですよ」
「エンター?」
「ENTって書いてあるとこ」
「いい、えぬぅ…ここか、えいっと。あれ?消えちゃったぞ。あれ?」
「リセットしちゃったんじゃないですか?ガード君が出てきたでしょ」
「ホントだ。どうすりゃいいんだ?」
「初期画面から階層を降りて『位置情報』まで行ってもらっていいですか?」
「降りるのか?」
「あ、いや。主任が階段を降りるんじゃなくて」
「お前が行くのか?」
「あ、いや。それちょっと貸してもらっていいですか?」
「ホントは主任以上しかいじっちゃいけないんだけどな。気をつけてくれよ、俺の名前でロックオンしてるから」
「ログインですね」

「どうだ?ヤスジロー、




心を喰われるのはどんな感じだ?」



アア

コロ


タシノ

コロ


「僕に体を壊されるのはどんな感じかな?」







アア   アア
  ア
     ワ

タシ   ハ   ワ  タシ

      タシハ

アレ アレ
アレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレアレ

 ハ  カイ スルルルルルルルルルルル
タメ ニ
  ナニニニニニニニニニニニ

ウシウシウシ





ズガッ!!




ヒッ


    イィィン


「誰かいるのか?!」


「あ、あ、あ、お」






どーしたんすかぁ?」




「あ、あ、おい、待て。止まれ!」

「何ですか?!」



「来るなぁぁあああ!!」


アア  ア


 ナニ  ガ


オコオコオコオコテオコテ


ミエミエミエ  

メ  ワタ シ



ナ  ニガ   


       オコテ


第27話ロボ、地上へ。につづく


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