日々棒組み  205〜244

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244
ある日、風呂に入っていたら後からショウヘーが入って来た。
あいつも最近は塾やらなんやらで帰りが遅くなる日があり、風呂も遅くなってしまうのだ。

狭い風呂場で洗ったりなんだりしているうちに、やつの足が私の背中に当たった。

ジャリ。

スネ毛だ。

ショウヘーもスネ毛のお年頃だ。
スネ毛以外もあちこち毛のお年頃だ。

もう大人なんだな。
このまえ並んで歩いていたら、私の頭のてっぺんあたりをチラチラ見ながら、
「もう時間の問題だね」
とか言っていた。
身長の話だ。

子供だ子供だと思っていたが、そろそろ大人として扱う時がきたようだ。

だが。
ショウヘーを大人として扱うためには、あいつにどうしても伝えておかなければならないことがある。
つらい現実、いや、真実。
しかし、つらい真実を受け止め、乗り越えられる者だけが大人として認められるべきなのだ。
現代日本社会を歪ませている原因のひとつが、このような、大人になるための通過儀礼の欠如であると断言しよう。

そうだ。ショウヘーに真実を伝え、つらい中から立ち上がれる大人とするのだ。

「なあ、ショウヘー」

意を決して、湯舟につかっているショウヘーに話しかける。
聞くほうもつらいだろうが、伝えるほうもつらいのだ。

「あん?」

これから直面する試練も知らずにのんきな返事だ。

「今まで黙ってて悪かったんだけど…」

「あん」

「実は…」

「うん」

「本当は…」

「うん」

「●●●●●●って、…●●●●だぜ」



「…えっ…」

********************
諸般の事情により、12月19日に、修正させていただきました。
今後はこのような不祥事を起こさぬよう、充分注意いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

2004.12.5
12.19修正


243
チョー気持ちいい

いちおう言ってみた。

流行語大賞だからね。
「大賞」だからね。

流行語って、世間のみんなが使うから流行語なんだと思ってたけど、どうやら違うらしい。
どっちかって言うと「印象に残った言葉」だと思うけどな。

俺のまわりで「チョー気持ちいい」なんて言ってる奴いなかったぞ。
いたら背中に水風船ぶつけてたな。

それともどこかではみんな「チョー気持ちいい」「チョー気持ちいい」言ってたのかな?
みんな。
どこかで。
どこか淫靡なところで。

気持ちよくなって、「チョー気持ちいいチョー気持ちいい」言ってたのか?
言ってたのかコラ。コラこのスケベ。
で、今回の受賞の報を耳にして、自分が「チョー気持ちいい」と叫んだあの夜のことを思い出して、頬を赤らめてそっと目を伏せたりしてたのかコラ。コラこのドスケベ。 

2004.12.2


242
ついこの間までクソ暑い夏だと思っていたら、もう11月も終わりつつあって12月になりつつありつつもう12月かもしれない。
なぜこんなあいまいな11月と12月の表現をしているかというと、これを書いているのが11月30日で、今日中にアップできるか微妙だからだ。

それにしても、今年ももうすぐ終わってしまうなんて。
年をとるごとに月日の経つのが早くなってゆくようだ。
今年もあと、

いちにい

じゅうしじゅうご

十九回会社に行ったら冬休みだ。

今年は仕事でぶちのめされるようなことが続いたから、せめて年の瀬くらいは心静かにおだやかに迎えたいものだ。

それにしても、月日の経つのを早く感じてる割には、一年前の仕事の手順なんかをきれいさっぱり忘れているのはどういうわけだろう?
この忘れっぽさと、時間の感じ方には何か相関関係があるのだろうか?無いのだろうか?

まぁ、こまごまとした凹凸を忘れているからのっぺりした時間がつるつる過ぎていくのかな、って気もするけどさ。
時間があまり早く過ぎていくのも待ってくれーって感じだが、こまごまとしたことを全部覚えて生きていくのもそれはそれで辛いだろうなー。

2004.11.30


241
きょうは勤労感謝の日でお休み。
世界中の勤労に感謝しつつ、普段は家にいない時間帯のテレビ番組を見ている。

いつもなら7時40分ころ家を出るので、その先のテレビ番組は、日常的には未知の世界である。
その時間になるとオカーが言った。
「3にして」
アヤのためらしい。
心が形成されつつあるアヤが、平日どんなテレビ番組を視聴しているかは気になるところだが、「3」といえば「NHK教育テレビ」である。「教育」というからにはアヤの清く正しく美しい幼い心に害のある番組は放送していないだろう。よしよし。

チャンネルを変えると、やっていたのは「英語であそぼ」。
なるほど、幼児から英語に親しませるのはいいことかもしれない。
それが終わって始まったのは「からだであそぼ」。主演はケイン・コスギ。しかし…。
「からだであそぼ」が終わると次に始まったのが「にほんごであそぼ」…

って、おい!
あそんでばっかりかよ!
今日は何の日だ!思い出せ、えぬえいちけい!
勤労感謝の日だぞ!国民の祝日だぞ!「勤労」を冒涜するかのようなこの編成。
えぬえいちけいともあろうものがそんなことでいいのか!

今日だけは
「英語ではたらこ」
「からだではたらこ」
「にほんごではたらこ」
にできなかったのか!
編成局長出てこーい!

なんつってな。
こないだの「プラネテス」で泣かせてもらったから許してやるよ。

そりゃそうと今日一番笑ったのは、アヤがガチャピンのことを「バカチン」って言ってたことだな。

「ムックとバカチン」。
「バカチン、スカイダイビングにチャレンジ!」。

2004.11.23


240
不思議なもので、子供というのものは、ある時期が来ると、アンパンマンに夢中になる。
ショウヘーにもそんな時期があった。
そしてつい最近、アヤがその時期に突入した。

わが家のテレビは隙さえあればアンパンマンのアニメが映っている。
ショウヘーといっしょに見ていた時も思ったが、アンパンマンのアニメは意外と面白くて、私はカバオが好きだ。バカっぽくて。
さすがに何度も繰りかえして見るのは疲れるが。

絵本も買って来た。
アンパンマンのキャラクターが街なかやレストランや動物園にたくさんいて、「だれがどこにいるか探してね」ってやつだ。
絵ではなくて、おもちゃを使ったジオラマの写真のようなやつ。

アヤに問題を出して遊ぶ。

「アンパンマンはどーこだ?」
「ここ」

「じゃーバイキンマンはどーこだ?」
「ここ」

「バタ子さんは?」
「ここ」

「ドキンちゃんは?」
「ここ」

「ドリアン王女は?」
「ここ」

すでにたくさんのキャラクターを覚えている。だがしかし。

「チーズは?」
「食べたい」

かわいそうなチーズ(チーズってジャムおじさんが飼ってる犬ね)。

チーズといえば、ちょっとかわいそうなことがあって、アンパンマンの世界では、犬のチーズだけが人語を話せず、いつも「ワンワンワン」なのだ。
カバやらうさぎやらパンやら天どんやらエクレアやら鉄火巻やら、あげくの果てはバイキンまでしゃべってるのに、犬のチーズだけは下等動物扱い。
アンパンマンには「犬差別番組」という側面があるということを我々は忘れてはならないだろう。

犬差別はともかく。
すでにアヤは多くのキャラクターの名前を覚えて、言えるようになったが、ただひとつ「カレーパンマン」だけは間違って覚えてしまって、不思議なことに何度教えても直らない。
アヤによるとあいつは、

「カレーアンパンマン」

なのだそうだ。

アヤちゃん、早く正しく言えるようになろうね。
とっても不味そうだよ、「カレーアンパンマン」。
「僕の顔をお食べ」って言われてもちょっといやだよ「カレーアンパンマン」。

2004.11.20


239
ある日、ショウヘーに訊かれた。

「ときどき『日々棒組み』に、オトーが書いたんじゃないようなのがあるのはなぜか?」

ときどきまじめなことを書いているのはなぜかと問いたいらしい。
なぜっておめぇ…

俺がまじめなことを考えてるからだよ。

…ときどきかもしんないけどさ。

ショウヘーには私が、ゲームをやろうかやるまいか、とか、シマウマがキリンのクソを食ってビックリ、とか、アヤにイチモツをわしづかみにされてイテテテ、とか、そういうものでできあがってるオヤジに見えるらしい。

いいか息子よ。そこに座ってお父ちゃんの言うことをよくお聞き。
アヤちゃんもついでにそこにお座り。

お前たちはお父ちゃんのことをふざけた人間だと思ってるようだけど、どうだろう?
そういうのってどうだろう?

この目を見てごらん。
荒廃する世界を憂うこの目を。
見てごらん。
お前たちの成長と幸せを願うこのうなじから背中にかけてのラインを。

お父ちゃんはいつだってまじめに物事を考えてるんだよ。
考えて考えて考え抜いた結果、

ドラクエをやろうかやるまいか悩んだり、シマウマがクソを食うのにビックリしたり、イチモツイテテテになったりしてるんだよ。わかるね?

ごめんよ。
ふざけた父ちゃんで。




でも、ホントにホントの正直なところ、最近の世の中のインチキで自分勝手なやつらがやらかしてることには、父ちゃんうんざりしてるんだよ。
アメリカ軍からオレオレ詐欺まで、父ちゃんは岩を砕くくらい怒ってるんだよ。

でもね。
それでも誠実できっちりやってる人もたくさんいるからね。
そういう人はちょっと笑ってほしいな、と、父ちゃんは思ってるよ。
なんだかいやなことばかり起こるけど、ちょっと笑ってほしいな、と思ってるよ。

2004.11.19


238
なんか朝晩寒いなー。
一時はこのまま春になっちゃうんじゃないかってくらいあったかかったけど、それなりに冬になっていくんだね。
いつからコートを着るかが問題だな。
どうしようかな。
外は寒くても通勤の電車内はけっこう暑いからな。
どうしよう。迷っちゃうな。

そんなことで迷うなよ。不惑なんだから。

迷うって言えば、
どうしようかな。
やろうかな。やめようかな。
ドラゴンクエスト。

7はやったんだけど8はどうしようかな。
やれば面白いかもしれないけど、どうしようかな。

始めるとすげー時間使うんだよね。他の事が一切できないくらい。
まぁ、時間を決めてやればいいってだけの話だけどね。
「ゲームは一日一時間」って高橋名人も言ってたからね。

その一日一時間の自由時間がとても貴重なんだけど。今や。

やーめた。

ドラクエやるのやーめた。

やんないもーん。時間かかってしょうがないから。

ベホイミ!

ダーマの神殿!

このきょうかいになんのごようかな?
 おいのりをする
 いきかえらせる
 どくのちりょう

ちいさなメダル

ああ。

どうしようかな…

2004.11.18


237
ふと気づけば11月も半分消化して、今年もあとひと月半ほどである。
ついこの間までクソ暑い夏だったのにもうこんなありさま。
アヤも風邪をひいたが、すでに回復期。
今ではショウヘーとオカーが風邪の諸症状。

すべては流れゆく定めなのだ。
多分。

しばらくお休みしていた「インスタントテレビ」が、近日再開の予定だそうです。
更新頻度その他いろいろ変わるようですが、私の書くものは変わらないでしょう。
ってゆうか次回作、もうほとんど完成してるし。

きのうは近所の本屋(文房具売場付き)で、「乾くと耐水性になるマンガ用のインク」を買ってきました。
ペンを使ってマンガを描くかもしれません。

描かないかもしれません。

2004.11.15


236
きょうは、ウルトラマンネクサスのロケでおなじみの東武動物公園へ。

暑かったよ。夏みたいな雲が出てたよ。

それより驚いたのがキリン。
っていうかシマウマ。
どっちだよ。
両方だよ。
っていうかキリンとシマウマのコンビ。

キリンとシマウマって同じ柵の中で生活していて、
「キリンって変な形だなぁ」
って見てたら、キリンがモッサモッサ歩いて行って、高いところにあるエサ箱からエサを食べはじめたのね。

「ああ、キリンさん、エサ食べてるねー」
なんてアヤに言ってたら、食ってるそばからウンチをし始めたのねポロポロポローって。気持ちいいくらいにポロポロポロ−って。
「ああ、キリンさん、ウンチしてるねぇ」
なんてアヤに言ってたら、今度はシマウマが何頭かやって来てキリンのウンチを食い始めたのね。

「あ、ああ、シ、シマウマさん、キリンのウンチ、た、食べてるねぇ」

なんて言ってるうちに、シマウマのやつら、きれいに平らげていったよ。キリンのクソを。ひとつ残らず。
知らなかったよ。シマウマってキリンのクソ食うんだ。
食物連鎖だ。

高いところのエサをキリンが食う。ウンチする。ウンチをシマウマが食う。
連鎖してる。

その先はわかんないけどさ。いいもん見せてもらったよ。
これから先も「生きていける」って気持ちになったよ。

2004.11.3


235
オトー家の食卓、今夜はホットプレートで焼肉。
豚肉牛肉アスパラソーセージにんにくの芽。いろいろ焼いて楽しい楽しい。

牛肉には市販の焼肉のタレ、豚肉にはオカーが苦労しておろした大根おろし。

皿に盛られた大根おろしを見てアヤが可愛く言った

「これ、なぁに?」

やさしい母親オカーがやさしく答える

「これは、大根おろし」

それを聞いたアヤが可愛らしく繰り返す

「だんこん、おろし」

だんこん…

おろし…

うぎゃあああああああああああっ!

だんこんおろし。

平和な一家団欒が一気に血の惨劇である。

一方その頃ホットプレート上ではソーセージがいい具合に焼き上がっていたのであった。終

2004.10.31


234
この何カ月間か「エロメール受信機」と化していたオカーのケータイも、アドレスを変えた瞬間にパッタリ静かになり、平和なオトー家である(仕事はメタメタだが)。

家庭は平和を迎えたが、これだけは書いておかねばなるまい。
アヤの「ボール」の件である。
以前ここで書いた。
アヤが風呂上りに私の股間を指して、
「ボール」
って言った件。

あれ。
キンタマのことじゃなかったんだよね。
ふつうボールって言えばキンタマのことだと思うじゃない?
キンタマ。
伏せ字になんかしねぇぞ。

キンタマ

キンタマ

キンタマ

キンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマキンタマ落ち着けっ!!

ところが、アヤが「ボール」って言ったの、キンタマじゃなくて、えーと、ほら、あそこあそこ、ほら。
なんつったらいいんだろ。

先っぽのむき出しになってるとこ。

ね?

ボールみたいでしょ?

つーか、外から見たらキンタマよりボールに見えるよね。
見えるよね?
あ、ほら、だから、今「見えない」って言った人は、ちょっと形が違う人なんだよ。
何がどう違うかはこの話の主旨じゃないから言わないけどさ。

で、アヤが、
「ボールちょうだい」
って、そこをわしづかみするんだよね。

ほら、「目に入れても痛くない」って表現があるじゃない?
俺はアヤを「目に入れても痛くない」くらいに可愛がってるつもりだけど、「ムキダシの先っぽをわしづかみされても痛くない」かっていうとそんなことなくて、痛いよ。とっても。

あ、ほら、だから今「なんで痛いんだろう?」って思った人はちょっと形状が違う人なんだよね。
具体的にどう違うかはこの話の主旨じゃないから言わないけどさ。

まぁ、そんなわけで。
オカーはエロメールの猛攻から脱出したんだよね。

旦那がこんな文章書いてるけどさ。

2004.10.19


233
きのうは台風接近中で外で遊べなかったので、家で寝っ転がって「仮面ライダー画報」という本を見ていた。
すると同じように退屈していたアヤが近寄ってきて、本を覗き込んだ。

私が「怪人コブラ男」の写真を指して、
「これなーんだ?」
と訊くと、じーっと見つめてから、

「くつ、はいてるねぇ」。

人間じゃないということより、「くつ」を履いていることが気になるらしい。

「ホントだ、くつはいてるねぇ、じゃ、これは?くつはいてる?」
と、怪人ゲバコンドルを指すと、じっと見て、
「はいてる」

「これは?」とヤモゲラス。
「はいてる」

ムカデラス、
「はいてる」

エジプタス、
「はいてる」

アリキメデス、
「はいてる」

死神博士、
「はいてる」(かなり普通の靴)

ナメクジラ、カメストーン、地獄大使、イカデビル、
「はいてるはいてるはいてるはいてる」

ショッカーは悪の秘密結社であると同時に、靴を履いてる軍団であることが明らかになった雨の土曜日であった。

外で遊べないのもたまにはいいかも。

2004.10.10
あ、おやじの誕生日だ。


232
いやー久々にビビったよ。

仕事を終え電車に乗りいつもの駅で降りる。夜7時ころ。
ホームから改札へ降りてゆくと、なにやら拡声機から出ているような声が駅構内に響いている。
拡声機の声に混じって肉声で「おねがいしまーす」の声。

この駅では時々、どこかの政党が「お願い」しているので、それかな、と思いながら、でもいつもより「お願い」具合が強いな、なんて思いつつ改札に向かうと、それらの声は政党のそれではなく、「赤い羽根共同募金」のお願いであった。

それはそれでいいのだが、ビビったのはその人数。

自動改札が6本ほどあって、駅からの出口は右と左のふたつ、正面にコンビニと床屋と、パン屋、という規模の駅なのだが、「赤い羽根共同募金」チームは、拡声機でお願いしてるひとり以外は募金の箱を抱えた人たちが十数人、約2メートル間隔でずらーっと並んでいる。
みんな60歳前後のおじさんおばさん。それがみんな同じテンションで募金を呼びかけてる。

いや、テンションはいいんだ、別に。
問題は密度。
どう見てもこのスペースにこの人数は多いだろ。

改札から左へ出る私はその間に5、6人のボキンの人とすれ違う。
意味あんのか?このすれ違い。
一人目二人目は無関心でも、三人四人めで募金の心が芽生え、五人六人めでついに募金しちゃうのか?

しちゃわねぇよ。

しちゃわなかったもん。

おまえらなぁ。
もうちょっと「効率」ってもんを考えろよ。
駅構内にそんなに固まっててもしょーがねーだろ。

散れっ!

ばらけろっ!町なかに!

そしてボキンの心を広めてこい!こいってんだ!!
ここは改札の前に二人、出口の左右に各一人、合計四人で充分。

いやホント、「コストパフォーマンス」なんて、普段は洟もひっかけない言葉を思い浮かべつつ、構内にひしめき合うボキンの善男善女の姿に、どうしても笑いをこらえきれずに駅舎を後にしたのであった。

2004.10.1


231
いやー、噂には聞いてたけど、すごいね、細木数子。
きのうちらっとテレビ見たら、「子供に好きなだけごはんを食べさせなさい」って母親を怒ってたよ。母親、ハイハイってうなずいてたよ。

何あれ?

さんざん母親に説教して最後に男の子たちに「母親を守ってあげなさい」っていいこと言ってまとめてたよ。

なんとなく「占いの人」って分類に入れてたけど、もう違う存在になってるんだね。
なにがどうなってああいう存在になっていったのかちょっと気になる。
テレビにたくさん出てるみたいだから誰かには求められている存在なんだろうけど。
自然発生したのとも違う、かといって誰かがすべて仕組んだのとも違う、なんかこういろんな力が引き合ってドロドロと盛り上がってできあがったような感じ。

ドロドロ盛り上がって細木数子。
ドロドロ盛り上がってあの姿かたち。
もはや人間を超えた存在。
超人。
超人ホソギガズゴ。
誰かが変身してる。

2004.9.29


230
まず気づいたのは足の大きさだった。
…俺よりでかい。

いや、ショウヘーの話なんだけど。
身長はまだ抜かれてないが、足は俺よりでかい。
ショウヘーが履けなくなったサンダルが俺の物になったよ。
息子のお下がりだよ。

まぁ、バカだから足はでかくなると思ってたけどね。
でも最近、玄関で靴を履いてるのを後ろから見ていると、やけに背中が大きく見えたりする。

こないだショウヘーがオカーに腕相撲を挑んで勝ってたよ。

で。
俺には挑んでこなかったんだけど、こっちから挑んだね。
でもその時の態度が、
「えー、オトーには勝てっこないよー」
じゃなくて、
「いいよ」
みたいな。
「ちょっとわかんないけど、いいよやろうよ」
みたいな。
もっと言うと
「勝てちゃうかも」
くらいの。

口には出さないけどそんな態度。

もうこっちはアドレナリンがピュ−ッだ。

まぁ、勝ったけどね。

全力出し切って。

でもさぁ、あいつ剣道やってるからな。
剣道やってると腕が鍛えられるじゃん?ずるいよな。

まぁそんなわけで。

体を鍛えることにしました。
ホコリをかぶっていた鉄アレイを引っぱり出してトレーニングしてます。
まだまだ若いモンには負けんぞ。

って、気づいたらショウヘーも俺の目を盗んで鉄アレイでトレーニングしてやがる。
それじゃダメじゃん。あいつも強くなっちゃうじゃん。
「俺の鉄アレイを勝手に使うんじゃねぇ」
と取り上げる。

ちくしょー。絶対に負けないからな。
すでに親子ではなく、男と男の、いや、オスとオスの闘いである。
プロテインとか飲んじゃうからな。

どっかでステロイド売ってないかな?

もはやドーピングも辞さない覚悟である。
このさいバイアグラも飲んじゃうぞ。

それはまた別の勝負。

2004.9.20


229
関東地方、きょうはとってもいい天気。

ショウヘーが出場する陸上の大会を観戦に出かけた。
会場は日陰がなくて、アヤの頭にポツポツ汗の玉が見える。
夏が終わったような気になって帽子を忘れたのを後悔するオトーとオカーであった。

ショウヘーが出場するのは400メートル走。
もう、トラックを見ただけでおじさんはめまいがしそうな距離だ、400メートル。
ウソだと思うならお前走ってみろよ、400メートル。

陸上ってホントに知らない世界なんだけど、スタート前に集まって、スタートする時に足をかけるあの発射装置みたいのを自分でセットするのね。
木づちでコンコンって、自分で打ち付けてんの、やつら。

で、スタート。
走ってる走ってる。
当たり前だけど。

ショウヘーは、

まぁ、完走したよ。

当たり前だけど。

そりゃいいんだけど、そのあとアヤにジュースを買ってあげて日陰で飲ませてたらメガネが壊れちゃってさぁ。
ちょっと前からおかしくしちゃってたんだけど、ツルのところがポッキンって。
メガネ屋行ったら、レンズはそのままでフレームを交換、ってことになって、いちんちふつか時間をくださいって。私に時間をくださいって。

そんなわけで今やコンタクトレンズの人。昔使ってたコンタクトレンズの人。いちんちふつか。

2004.9.12


228
ある日の朝食でカップ入りのヨーグルトが出た。ひとり1ヶ。
アヤが手をのばす。
「ゼリーばいゆ(食べる)、ゼリーばいゆ、あーけて」
アヤにとってこういうカップに入っているのはみんなゼリーである。

オカーがふたをペロっと開けて渡してあげると、とっとと食べ始める。
「アヤ、これはゼリーじゃなくて、ヨーグルト」
オカーが教える。黙ってうなずき食べ続けるアヤ。
オカーがカップを指差して、
「これなに?」
と訊くと、一瞬きょとんとしてから私のほうを見て、
「とーちゃ、これなーに?」

「それは、ヨーグルト」
教えてあげると、オカーのほうをちらっと見てまた食べ続ける。
再びオカーが、
「これなーに?」
と訊くと、今度はショウヘーのほうを向いて、
「うーあん、これなーに?」

「それは、ヨーグルト」
オカーのほうをちらっと見てまた食べ続ける。
わかっただろ、とでも言いたげである。
それとも「ヨーグルト」という音声を認識できなくてくやしいか。

何かができるようになると、新たにできないことも見えてくる。
何かを知ると、知らないことも増えてくる。絶望的に。
でも絶望するな。
それが人生だ。
がんばれアヤ、負けるなアヤ。

それはそうと、夜中に起きて「アイスばいゆ」と言ってオカーを困らせるのはやめてくれ。

2004.9.10


227
少し前にある人と関川夏央の著書『退屈な迷宮』の話をしていたら、こんな本もありますよ、と『世界とはいやなものである』という本をいただいた。
そこにはたくさん世界のいやなことが書かれていて勉強になったが、それはそれとして、タイトルの「世界とはいやなものである」という言葉が心に沁みついてしまい、何かあると浮かんでくるようになってしまった。

世界とはいやなものである

いい年したおっさんはそんなことは知っていて、日々飲み込みながら生きているのだが、時々飲み込めなくなる。

なんて書き出しで身の回りの些細ないやな出来事を書いて、「世界とはいやなものである」
と結ぶのが私のいつものやり口だが、今日はそうではない。
ホントに世界とはいやなものであると思っている。

北オセチア共和国ベスランの学校人質事件とその後に起こっている話を読んだりしていると、「世界とはいやなものである」という言葉が心に焼き付いてしまう。
たとえばこんな話。
http://chechennews.org/chn/0429.htm

特に、ロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤが毒殺されかかったかもしれないという話は、心を暗くさせる。

世界とはいやなものである

しかし。
しかし、だ。

「世界はいやなもの」だが、そこで停止したくない。
私がそこで停止しては子供たちにすまないってもんだ。
子供たちに教えなければならないのは、この世には「アンナ・ポリトコフスカヤのような人」も、「アンナ・ポリトコフスカヤのような人を毒殺しようとするやつ」もいるってことだ。
「大儀」とやらで始まる戦争があり、「利権」のために終わらない戦争があるってことだ。
造る者と壊す者がいるってことだ。
お前たちには壊す者にはなってほしくないってことだ。

世界を把握しようという野心は無いが、「知らない」ということは危険なことだと強く感じる。

2004.9.8


226
今やわが社は「健康チャレンジ」である。
なんだそりゃ?

私の会社が加入している健康保険組合が財政ピンチとかで、誰かが「みんな健康になって病院に行かなければ支出が抑えられるじゃん」と考えて始めた催しが「健康チャレンジ」である。

参加者は用意されたコースをひとつ選び、達成率によって賞品が贈呈されることになっている。
そのコースというのは、

1.ダイエットコース
2.禁煙(節煙)コース
3.禁酒(節酒)コース
4.ウォーキングコース

のよっつだ。

さぁ、どれにしよう?
ダイエットするほど太ってないし、タバコは去年やめちゃったし。
酒もそんなに飲まないし。

たいていはね。


例外的に大量に飲むことはあるけど。

たまに記憶を無くすけど。

記憶を無くすと飲んだんだか飲まないんだかわからなくてチャレンジにならないので、ウォーキングコースを選んだ。

ウォーキングコースのチャレンジャーには万歩計が配付される。
ウォーキングコースには、「1日7000歩コース」と「1日10000歩コース」があって、「常に自分を追い詰める」がモットーの私はもちろん「1日10000歩コース」を選んだ。

そして今日、9月1日がチャレンジ初日であった。
万歩計をセットして家を出た。
駅まで歩き、電車を乗り換え、会社まで歩き。到着したところで万歩計をチェック。

3420

このまま家に帰れば約6800歩。7割弱の達成率がここで約束された。しかし油断はできない。
午前中外回り。会社に戻って昼食。午後ちょっとデスクワークをして、また外回りに出る前にチェック。

9210

これで出かければすぐに10000歩越える。
1日の半分を越えたところですでに92パーセントの達成率。
張り合いがないことはなはだしい。

結局、1日の仕事を終え、家に帰ってチェックすると、

16978

1日10000歩なんて楽勝じゃん。つまらん。

しかし俺はどれだけ歩いてんだ。って、17000歩くらいだって今日明らかになったんだけどさ。
いちにち17000歩。十日で170000歩。百日で1700000歩。
水前寺清子はいちにち一歩。三日で三歩。どんな生活してんだ、チータ。
チータってなんだ?

1日一万歩が健康の目安みたいにいうけど、家が駅から遠くて外回りの仕事をしてたら楽勝なんだな。

よぉーし、明日も歩くぞぉー。
にまんぽ歩くぞっ!おーっ!!

2004.9.1


225
なんて言うんだろ、こういうの。

だまし討ち?

涼しくなったなー、もう夏も終わりかー、終わると思うとちょっと淋しいなー。
なんて思わせといてこの暑さ。
なんだよこれ。街中がギラギラしてたよ。
ほとばしる性欲を抑えきれない高校生みたいだったよ。

ショウヘーの夏休みも終わりだというのにこの暑さ。
そういえばおとといの夜、
「ちきしょー、あと二日で夏休みも終わりかー。すぐまた続けて夏休みになんないかなー」
なんてバカなこと言ってたな。

ほんともう暑いのはいいよ。終わろうよ。楽になろうよ。ひとおもいに。

2004.8.31


224
白いクソも当日中に排出し、「ぷっちょ」を食べたら取れちゃった銀歯も本日無事に装着された。

これで完全体に戻った。
完全な体である。
完璧なバディーである。
峰不二子である。

そりゃそうと。
アヤは日に日に言語能力が向上している。
以前は「ごはん」は「ご」だったが最近は「ごうわん」だ。
「ゲーリーグッドリッジか?」と、一部地域の読者にしか理解されない突っ込みを入れたくなる。
「ピーマン」は「ピーヤン」になった。
「パーマン」と「パーやん」みたいだ。ちょっと関西風。

「まん」が「やん」になるとすると、「あんまん肉まん」は「あんやんにくやん」か?
「自信満々」は「じしんやんやん」か?
リチャードクレーダーマンはリチャードクレーダーヤンか?
リチャードクレーダーって言えないけどさ。

2004.8.24


223
今日は健康診断であった。
朝食抜きで出社、「検便」を提出せよという過酷なミッションであった。
このところ笑っちゃうほど便通の良い私であったが、朝食抜きでは簡単にはいかない。

「飯も食ってねぇのにクソなんか出るかよ」
悪態をつきながらも会社のトイレでふんばってみるとコロンコロンとかわいらしい便が。
さすが、「本番に強い」と言われる私である。

検便をたずさえて意気揚々と健診会場の病院へ。

身長体重血圧視力聴力採血心電図医者の問診レントゲン、滞りなく(ちょっと待ち時間があったけど)進み、最後は胃の検査。バリウム飲むやつ。

ズボンとYシャツを脱いで、知り合いには見られたくない、なんかこう上からかぶって着る青いやつを着て、検査室の前で待つ。

中から、横向けだの戻れだの、うつぶせになれだの、検査員が指示する声が聞こえてくる。
「ぐるぐる2回まわれ」なんて言葉も聞き取れた。いったい中では何が行われているんだ?

やがて私の番が。
バリウムを飲まされた後、やはり私も、横を向いたりうつぶせになったり息を吸ったり止めたり、ぐるぐる回ったり戻ったり、その他、とても口では言えない屈辱的なことをさせられ、ようやく検査が終わった。
途中何度も「普通にしていいですよ」と言われたが、「この体勢でどうすれば普通にできるんだよ」と心で叫ぶ私であった。

下剤をもらって病院を後にした。
あとは白いクソを出すだけだ。
バリウムの白いクソを出さないと、固まってたいへんなことになるらしい。
家に帰るまでが遠足なのと同様に、白いクソが出るまでが健康診断なのだ。

「クソに始まってクソに終わる」

これが健康診断の極意と知れ。

2004.8.24


222
あー。

欲しいな−。

メダル。

銅でもいいから。

何かないかね?今からでもいける競技。四年で。
北京だっけ?つぎ。
がんばるから。すっげーがんばるから。
旅費は自腹切るから。

あ。
冗談だと思ってるでしょ?
出ちゃうぞ。
オトーって名前でエントリーしちゃうぞ。
「どこの国だ−」って突っ込まれるちゃうぞ。

むなしー。

こんなこと言ってる自分が何よりもむなしー。

むなしーの世界チャンピオン。金メダル。

どんどんむなしくなってくなー。

2004.8.21


221
オトーくん、きょうは勝ち負けについて考えている。
遠くアテネで勝ったり負けたりしているのと無関係ではあるまいぞ。

子供のころ友人と、映画「キングコング対ゴジラ」で、勝ったのはゴジラかキングコングか?という議論(っていうか「どっちかなぁ?」ってレベルだけど)になったことがあっった。
その時、怪獣その他にとても詳しいアキラが、微塵の迷いもなくきっぱりと言った。

「勝ったのはキングコングである」

なぜなら。
「モスラ対ゴジラ」で勝ったのはどう見てもモスラである。
つまり、映画のタイトルで名前が先に表記されている怪獣が勝者なのである。
ゆえに、「キングコング対ゴジラ」の勝者はキングコングである。
あざやかな論理。
なによりアキラが言うんだから間違いない。

マットアロー1号をゼンマイボックスをはずして組み立てる男アキラ。
原作版タイガーマスクをそっくりに描く男アキラ。
もう誰も逆らえない。

日本のこどもである私たちは、なんとか「ゴジラの勝ち」、最低でも「引き分け」に持ち込みたかったのだが、アキラの理論の前ではそんな感傷的ナショナリズムは無力であった。

われわれは学び、そして心に刻みこんだ。

1.タイトルに先に名前が出てくる怪獣の勝ちである。
2.ゆえに、「キングコング対ゴジラ」で勝ったのは、キングコングである。
3.とにかく名前が先が勝ち。

そんなわけで、
「サンダ対ガイラ」はサンダの勝ち。
「スクエア・エニックス」はスクエアの勝ち。
「三井住友ビザカード」は三井の勝ち。
「金銀パールプレゼント」は金の勝ち。
勝ちったら勝ち。

2004.8.19


220
そんなわけで夏休みも終わり、普通の毎日がやって来た。
日焼けした腕と背中の皮がむけてきたのが夏の思い出というところか。
あまり焼けないように気をつけてたんだけどな。

あ、もうひとつ。
銀歯が取れた。
海の帰りに運転していて、眠くなったので助手席のショウヘーに「何か食うもんくれ」ともらった「ぷっちょ」を食ったら右下の歯の銀歯が取れた。

「ぷっちょ」を食ったら銀歯が取れた。
「ぷっちょ」を食ったら銀歯が取れた。
「ぷっちょ」を食ったら銀歯が取れた。
「ぷっちょ」を食ったら銀歯が取れた。
「ぷっちょ」を食ったら銀歯が取れた。
「ぷっちょ」を食ったら銀歯が取れた。

忘れないようにたくさん書いた。
下から二番目のは関西弁のイントネーションで書いた。

もう二度とふたたび「ぷっちょ」は食うまい。
心に刻みこめ。
「ぷっちょ」は食うまい。
「ぷっちょ」は食うまい。
「ぷっちょ」は食うまい。
「ぷっちょ」は食うまい。

仮歯が入ってる口はちょっと消毒臭い。
くちづけも消毒の味。

2004.8.18


219
夏休みはこれで終わるがこの世が終わるわけではない。
人生はまだ続くのだ。
望みを捨てるな。

やがて正月休みがやって来る。

2004.8.16


218
息子が3歳か4歳のころだから、もう10年近く前になるが、夏休みに広島へ旅行した。
広島出身の義母の親戚を回るような旅行だったが、原爆ドームや平和記念公園にも立ち寄った。
よく晴れて、白い雲と青い空がきれいな暑い日だった。

資料館にも入った。
焼けた服(誰かが着ていた)。
黒コゲの弁当箱(誰かが持っていた)。
焼けた帽子(誰かがかぶってた)。

私はもう大人で、たいていのことは理性的に受け止められると思っていたがそうではなかった。
衝撃を受けた。
知識として知っていることと、ほんのいくつかでも現物を目にするのとでははるかに距離があった。

原爆投下を正当化する資料だか統計だかがあり、言葉がある。
核兵器を容認する理屈がある。
どっちもダメ。
ぜんぜんダメ。
それらはダメだと私が断定する。

焼けた服をその目で見て、生きた人間がそれを着ていたことを実感してみろ。
さあ、どこが正当だ。
子供を焼き殺すもののどこが正当だ。
ひとが大事に育てた日常を破壊して、そのどこが正当だと言うのか。
言葉で罪から逃れることはできないぞ。

2004.8.6


217
きのうは会社のボウリング大会とバーベキューパーティーがあり、その後、年に数回行くスナックでつぶやきシロー似のおねえさん(自称24才)と、どうにもこうにもな時間を過ごし、帰宅したのが2時だか3時だかそんな時間だった。

きょうは、朝はアヤとふたりで近所の公園へお散歩。ショウヘーは陸上部の大会に行って留守。
その後オカーも加えて3人で西友に買物に行った。
オカーがアヤに、
「お買い物で何を買おうか?」
と訊くと、
「ぎゅうぎゅう(牛乳)」
「それから?」
「たこ」
最近は何を買おうかと訪ねると必ずこのふたつを答える。

アヤの午後のお昼寝タイムに、本屋へ雑誌「宇宙船」を探しに行くが、まだ売っていなかった。
帰ってもアヤはまだ寝ていた。つまらないので録画していた「セーラームーン」を観る。
うさぎちゃんがお風呂で倒れたあたりでアヤが起きてきた。

オカーが「ピクミン2」を始めて、私はアヤと自転車で出かける。
「あっち」「こっち」と指さすアヤの言う通りに近所を走り回り、最後におもちゃ屋に入る。
プラモや、マニアックなフィギュアのある方へ誘導しようとするが、アヤはすべり台や太鼓のおもちゃにひっかっかて、なかなか進まない。
そのうち「かーかんかーかん」と泣き出したので家に帰ることにする。

夕方アヤと風呂に入る。
アヤはなんだかごきげんで、湯舟でばしゃばしゃぴょんぴょん大騒ぎだ。
風呂から上がって体を拭いてあげていたら、私の股間を指さしてアヤが言った。

「ボール」

私は日常を愛している。

2004.8.1


216
お客さんと道で立ち話をしていたら急に腰が痛くなった。
ガツンガツンガツンと、妙にリズミカルな痛みだ。
「痛てて痛てて」と座り込んでしまった。
心配したお客さんが上から覗き込む。
腰が痛いと告げると、それは腎臓とか肝臓とか、どこか内臓が悪いのではないかと怖いことを言う。

確かに普通の腰痛とは痛さの質が違う。
ガツンガツンガツン。
こりゃ早く病院へ行かないとまずいぞ、しかしこんな場合は何科に行けばいいんだろう、なんて考えていたら目が覚めた。

夢か。
ぼんやりとした頭で「怖い夢だったなぁ」などと思うが、腰の痛みはまだ続いている。
ガツンガツン。
夢の中と同じようにリズミカルに痛い。
ガツンガツン。
本当に内臓が悪いのだろうかと怖くなる。
ガツンガツン。
普通の腰痛の痛みとは明らかに違う。この痛さは…例えれば、そう、誰かに蹴られているような痛さ。それも大きな足ではなく、小さな足。小さな、そうだな、ちょうど1歳半くらいの子供のかかとで蹴られているような痛み。ガツンガツン、って、アヤちゃん!!

夜中に父さんの腰を蹴るのはやめてね。って寝てるよ。寝ながら蹴ってるよ。
転がって避難。
アヤの足はまだ布団を蹴っている。

オトーとオカーとアヤは「川」の字で寝ているが、アヤは寝相が悪いので、気がつくと「l-l」だったり、「l_l」だったり、「l^/」みたいな夜もある。
そのアヤの足がちょうど私の腰の辺りでじたばたしていたのだ。ガツンガツンと。
まぁとりあえず内臓からくる痛みじゃなくてよかったよかった。

2004.7.26


215
そんなわけで42才だ。
というと、「厄年」という言葉が返ってきたりするが、満42才は厄年ではない。
はずだ。
と思う。

きのうまで41才として生きてきたのに、日付が変わった瞬間から42才として生きていかなければならない。
手の平返したように42才。
喉元過ぎれば42才。
ノドから手がでるほど42才。

だからといって何か生活が変わるわけではないが。

くやしいのは、41才の時にしかできないことをやり残してしまったことだ。
「41才の春」を迎えたら高らかに宣言しようとずーっと思っていたのに、すっかり忘れていた。
せっかく「元祖天才バカボンのパパ」と同い年だったのに、それを喜びとともに宣言する機会を失ってしまった。
永遠に。
人生には取り返しのつかないことがあるのだ。

今しかできないことをやりたいんです!
シンクロやりたいんです!

無理について来なくてよし。

2004.7.24


214
オトーくんはひとの欲望に関して考えている。

ひとつをあっさり与えられると、あたりまえのようにその五倍くらいのものを要求してくるやつらのことを考えている。
お客様として生きているやつらだ。

お前らはそうやって生きていきな。
俺はそんなふうには生きていかないし、子供もそんなみっともない人間には育てないよ。

2004.7.23


213
毎夏の大きな仕事も手を離れ、開放感でいっぱいの41歳のおじさんである。
あとは印刷と製本で間違いがないことを神に祈るばかりである。
特に信仰している宗教はないが、とりあえず祈っとこう。
「無事に済みますように」っと。

41歳のおじさんといえば、もうすぐ42歳のおじさんである。
40歳を過ぎてから自分の年齢に対して意識が薄くなったような気がするが、毎年ひとつづつ年をとってゆくし、子供たちは確実に成長してゆく。

アヤは、日々いろんな言葉を発するようになってきたし、ショウヘーの成長など、くわしく書きにくい段階に達している。

「大人になってきたぞ」とだけ書いとくか。

2004.7.17


212
久しぶりに有名人が登場する夢を見た。

桑田佳祐のマンションにて。

桑田佳祐は寝っ転がってテレビを見ながら、何とかいう外人のアニメーターのアニメが好きだ、とか言ってる。

「○○のアニメっていいよねー」

すると、キッチンにいた、見たこともない、若くてきれいだけどそこらじゅうにいそうな感じの女が、

「じゃあ、○○のカラーの原理ってわかってんの?」

と、強い口調で桑田を問い詰めた。
私は(やな女だなー)と思いつつ、黙っている。
桑田も言い返すでもなくもごもご何かつぶやいている。
女は、

「そういうこともわかんないで好きだとか言ってほしくないのよねー」

とか言っている。ほんとにやな女だ。
でも私は黙ったまま自分の荷物からスエットを出して着替え始める。
お泊りモードだ。
スエットに足を通しながら
(そういえばいつかの大晦日にもここに泊まったっけなぁ)
とか考えている。
着替えている私を見て桑田が「俺も」とつぶやいて別室へ着替えに行った。

テレビの前では、私の幼なじみのツトムが、少年ジャンプを読んでいる。
「お前も着替えるんなら着替えちゃえよ」
と言うと、
「う、うん」
とか言いながらジャンプを読み続けている。
私がジャンプを蹴っ飛ばすと、やっと重い腰を上げた。

女はぶつぶつ言いながら台所仕事を続けている。もうすぐ夕ご飯だ。

この夢のキモは、
「性格が悪くていやな女が作った料理でも、おそらく気にしないで食べちゃう」
かな。

2004.7.7


211
会社の課の編成が変わって、7年くらい前まで担当していた地域のお客さんとまた関わることになった。
直接担当するわけではないけれど、「またよろしくねっ」ということで今日、何軒か挨拶に回った。

約9年間その地域を担当していたのだが、行ってみると懐かしい顔が次々と現われて、しかもみんなにこにこ迎えてくれるのでうれしくなってしまった。

同じ仕事を長く続けていると煮詰まった気分を味わうこともあるけれど、今日のような気分を味わえるのも、長く続けてきたからこそだと思う。

いやほんと、うれしかったなぁ。なんでみんなこんなににこにこしてるんだろ、と思ってる自分もかなりにこにこしてたよ。

2004.7.5


210
私はボウリングである。
私こそボウリングである。

「インスタントTV」の「さっかぼうず」というコーナーで、得意先のボウリング大会に参加したあげく、次回の幹事長の座を射止めた話を書いたが、今度は7月の終りに開催される自社のボウリング大会の幹事に、いつの間にか任命されていた。

そんなに俺にボウリングの幹事をやらせたいか。
誰が俺に幹事をやらせたがっているか?
得意先の件とはまったく無関係なところで決まったことなので、これは人知を越えた何かの力がはたらいているにちがいない。
まあどうでもいいけど。

ところで私は会社がらみの行事で幹事をやるのが嫌いである。
めんどくさいというのもあるが、会社の行事だと、一部の勘違いしたおっさんが、完全に「お客様」という態度をとるからだ。
いっこも役に立たないくせに要求だけは大声で喚き立て、「要求」でしかないのに「提案」や「アドバイス」だと思い込んで、手伝ったような顔で恩を着せる。
一部だがそういう連中がいて、精神的にとても消耗する。

というわけなので、会社の人でこれを読んだ人は、当日怪しいおっさんの言動にほんの少しでも注意してみてほしい。不快じゃない程度に。
そして、もしも私が言ったような言動が見られたら、心の中でそっと「バカ」とつぶやいてほしい。

それだけで私の心もずいぶん晴れるってもんだ。

2004.7.3


209
私はそんなに潔癖性ということはなくて、駅の洋式便所でも平気でンコできる。
ぜんぜん平気。
でも電車で隣にすわったオッサンが鼻くそを掘り続けているのはちょっといやだ。

いたんだよ、そういうオッサンが。こないだ。
50過ぎくらいかなぁ、ずんぐりした体格で、ちょっと脂ぎった感じだったけど、背広着てネクタイ絞めて、ごく普通のサラリーマン。
そいつが私の右隣にすわって、右手にスポーツ新聞を持ってんだけど、左手は鼻くそほじってんの。ず〜っと。

はじめはちょっと面白がって横目でちらちら見てたんだけど、あまりにも長時間鼻の穴に指を突っ込んでグリグリやっているのでちょっと気分が悪くなってきた。

時々指を抜いて新聞を見たりするが、すぐにまたグリグリやっている。
こいつおかしいぞ。
警戒して注意を怠らないようにしていたら、ついにオッサンは、鼻から抜いた左手の指をこすり合わせて鼻くそを床に落とし始めた。
うげ。
自分が降りる駅まであとふた駅ほどだったが、私は耐えられなくて席を立った。
席を立ったが、オッサンが見えるポジションで観察を続けた。
見ているとオッサンはその後も鼻くそを掘り続けていたが、私の後でオッサンの隣にすわった若者はまったく気づいていないようだった。

オッサンはあの手であちこち触るんだろうなぁ、と思うとさらに気分が悪くなった。
私は潔癖性ではないが、潔癖性の人の気持ちはちょっとわかる。

2004.6.26


208
あっちいなぁ。あちーよ。
夏かよ。夏なのかよコノヤロウ。
お前は夏なのか。
お前は誰だ。

あちくて頭おかしいな。
まぶしいもんな、屋外。ハレーション起こしてるもんな、あちこち。
梅雨はどこ行っちゃったんだ。
梅雨もいやだけどさ。
べつに帰って来なくていいけどさ。

で、ついさっき、とあるブログのコメントで見かけて思ったんだけど、「気分を害したのならあやまります」って言いぐさ。よくないね。
「気分を害した」のなら申告せよ、そうすればあやまってやる、って態度。
よくないね。
そのコメントもそうだったけど、たいてい気分を害した意思表示があった後に出てくる言葉だしね。
素直にあやまれっつのコノヤロウ。あちーぞ、コノヤロウ。

2004.6.22


207
先日、女性の編集者と打ち合わせをした時、仕事の話が終わったところで、「お子さんはいらっしゃるんですか?」と訊かれた。
「上は12歳、下は1歳のふたりいます」と答えると、「ああ、やっぱり」。

どういうことかと訊くと、電話などでの私のしゃべり方が、子供に話しかけているような口調に聞こえるのだそうだ。
なるほど。意識したことはなかったが、あり得るな。

「毎度ありがとうございまちゅ」
「きょうは午前中におじゃまするでちゅよー」
「ご準備できていい子でちたねー」

なんて言い方はしないが、何となくそう感じるしゃべり方はしているかもしれない。
体にしみついたものは意識しなくてもにじみ出てしまうものなのだろう。
ドヤ街の子供たちが矢吹丈を慕うあまりウルフ金串の秘密特訓をスパイに行って見つかり、ウルフにボコボコに殴られ返されたが、その傷を調べた丹下段平が、ウルフの作戦が「ダブルクロスカウンター」であると見破ったように。

ってことはあの女性編集者は丹下段平か。
そのうち「立て、立つんだぁー!」とか言い出すな。「泪橋を逆に渡ろう」とか。

てぇと俺はウルフ金串か?
トリプルクロスカウンターで顎を砕かれて引退に追い込まれ、やくざの用心棒をやっていたらゴロマキなんとかに膝蹴りを喰らってまたもや病院送りにされたあげく、「目が腐ってた」とか言われるんだな。

ええ、腐ってますともよ。

2004.6.12


206

もはや世間は6月である。
衣替えや梅雨入りである。

6月になったので、禁煙してから一年以上が経過したことになる。
今やタバコは私とは無関係な商品になっている。
どこで売っていようといまいと、新しい銘柄が出ようと、今まであった銘柄が姿を消そうと関係無い。
そういう意味ではブラジャーやパンティーストッキングと同じである。

ブラジャーやパンティーストッキングは、何かの拍子で着用したくなるかもしれないので、ここは、「三菱マークの自動車と同じである」としておくか。社会派の私としては。

社会派の私。
何かの拍子でブラジャーやパンティーストッキングを着用するかもしれない社会派の私。
素敵な私。ラララわたしわたしララララ♪

マリファナはやってない。

2004.6.10


205
人生は反省の連続である。
人生は反省とお詫びの連続である。
人生は反省とお詫びと懺悔の連続である。

私はつい一年ほど前まで、自分の子供に「ちゃん」だの「くん」だの付けて呼ぶやつはバカだと思っていた。バカヤロウだと思っていた。そんな親は、どうしようもないウスラバカで世界平和の敵だと思っていた。

しかし。
気がつけば。
「アヤちゃん」
である。
時には
「アヤちゃあん」
の場合もある。
どうかすると
「アーやん」
だったりして、バカ丸出しである。

もっとどうにかしてると
「アーにゃん」
になったりする。
ちょっと「バーミヤン」みたいだ。

まあそんなもんだ。
自分の子供に「ちゃん」だの「くん」だの付けて呼ぶやつはバカだ、という気持ちは変わらないが、自分自身もバカだったと気づいたというわけだ。

ええ。
バカでけっこう。
一歩進んでバカになりたい。

反省してないな。
反省もお詫びもしてないな。
するかそんなもん。

人生は開き直りの連続である。

2004.5.27